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懐かしい家

ガタガタ……カタカタ……カタン……。

石像の謎の声が聞こえなくなり、死の石が完全にグレーになると、徐々に揺れがおさまった。

3人は呆気に取られ作業台の上の石像を見つめたまま、硬直している。


「ティム……これって……ハッ! そうだ! モーゼスさん、死の石の欠片ってそんなに無いですよね?」


「そうだな、あの大きさだからな……数はない……半分は謎が解けるまで小瓶に入れてお前達が持ち歩いたほうがいいかもな」

モーゼスはそう言って、道具箱から小瓶を持ってきて

そして、5個の欠片を小瓶に入れてくれた。


「京美さん、僕はさっきの声が言ってた事を記録します、ヒトツワネガイ……えっと……フタツワ……うーん、もう一度聞きたいですが、死の石には限りがありますよね……」


「そうだね、死の石は無駄には使えない……3つ何かが必要なんだ1つは”死の石”だった……じゃあ、あとの2つは?」


「……死の石の力と対極にある物………治癒草……??」


「それだ! 種を採取して試してみよう! 今日はもう遅い、明日にでもシロウ達と採りに行こう、バンガ王の分も必要だしね」


「死の石の半分は俺がさっきの箱に入れて保管しておく、謎が解け次第、無力化しよう」


「お願いします!」


モーゼスの店を出るとすっかり暗くなっていた。


「京美さん、今日はもう暗くて危ないので、久々に家に泊まって下さい、狭いかもしれませんが……アリナが喜びます」


「ありがたいね、そうさせてもらうよ。でもさー危ないのはティムも同じじゃない?」


「え? 何でですか?」


キョトンとするドレス姿のティムに思わず吹き出す京美だった。


屋台村を越えアリナとティムの家が見えた時、なんだか懐かしい気持ちになった。

ほんの少ししかこの家で過ごしていないが、それでも思い出はしっかりと京美の心に刻まれている。


ミイラの姿のティム。

本を持って期待の眼差しを向けるアリナ。

やたら狭いベッド。

三人で作った料理。


「いやはや、私の記憶力もまだまだ安泰だねぇ……」


「どうしたんですか? 急に」


「何でもないよ、お! アリナ料理作ってるんじゃない?」


「作ってますね、香りがしてきました! アリナ、最近とても料理上手になったんですよ。石造りの村のマスターにちょくちょく教わってるみたいで……」


「それは期待できるね、楽しみになってきたよ」


家に着き畑を見るとティムは「あー……」と小さく嘆き、ぼやき始めた。

「ほら、畑が荒れ放題なんですよ」


「あー、これはうんざりする気持ちもわかるわ……いいよいいよ今度デカ連れて来てさー、手伝うよ」


京美のその言葉にティムはにっこりと笑った。


ティムはそのままドアノブに手をかけ、家に入ろうとしたので、京美は急いでドアの影に隠れた。


アリナをビックリさせたい!

京美はそう思った。


「ただいまー アリナ、帰ったよ」


トトト……とアリナの足音がして

「おかえりなさい、兄さん」と出迎えた。


ドアの影に隠れていた京美はその声を合図に、一気に姿を現すと

「アリナ、ただいまーー!」と戯けて見せた。


アリナは状況を飲み込めていない様子で、反応が薄かったが、京美が家に来たのだと理解した途端、嬉しそうに笑い「おかえり!」と言ってくれた。


そして、もう一つサプライズがある。


後手に隠していた、カタツムリの形の菓子をプレゼント

実際にはフィリップに貰った物だが、アリナはかなり喜んでくれてるのでそんな事はどうでもいい!!


「アリナの手料理の後にお茶にしようね!」


『はーい!』


「今日は何かなー?……え? これモロにジュエルビートルじゃん……」



三人が久しぶりに家に居る懐かしさにウキウキとする。


そして、家のドアが閉まっても外まで笑い声は響いていた。

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