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デイビーズ家

雨は降ってはいるがシトシト降りに変わっている。

しかし雷雲は近づいて来ているようだった


「北って言ってたよね?」


「言っていたな、あそこに見える湖の事じゃないか?」

シロウが指を指した方向には空の色を写した灰色がかった水面が見えた、雨が降り落ちると小さな波紋が次から次へと広がっている。

土からは湯気が立ちもやがかっている。

湖はそこそこ広さがあり、目を細めると向こう岸に屋敷が有るのがわかった。


「急ごう! あそこにグレースさんが閉じ込められているかも」


橋などは架かっていないので、湖の周囲を走る事になる。



ある程度近づくと建物の窓が目に入った。

分厚い雲で空は薄暗い、時折走る稲妻で辺りは一瞬白く照らされた。

その時、二階の窓際に風になびく長髪の人影がみえた。

「グレースさん!?」




屋敷の敷地に入るともっとおかしな事に気がついた。


「これ本当に人が住んでるの?」

朽ち果てた屋根、壁面はひび割れ、石塀は崩れ、雑草だらけの庭、柳のような庭木は手入れされず伸び放題。

まさに幽霊屋敷だ。


玄関扉前に行き、ドアノッカーに手を掛けトントンと鳴らす。

錆びついてはいたがその役目ははたしている。

「デイビーズさん! お伺いしたい事があるのですが!」

ティムはノックしながら家主に声掛けする。


「反応がないね」

京美がティムの肩を軽く触れながら言った。


裏手に周っていたシロウが

「京美、こっち来てみろ」と言った。

庭には中世の鎧やら、陶器の割れた壺などが転がり、大きな庭木が手入れされずに傾いている。

シロウが見ろと言ったのは裏手の窓の事でそれは割れていた。

「庭は荒れ放題だね」


「京美さん! 玄関は鍵がかけられてるみたいです」

応答がなかった為、ティムはドアノブを回したようだ。


「ここから入るしかないか……」

京美は割れている部分に手を入れ鍵を外し、窓を開けた。


「僕が玄関のドアを開けてきます、デカさんちょっとここに屈んで下さい」

ティムはデカを窓下に誘導し靴を脱ぐ。

そして、ヒョイとデカを土台にして屋敷の中に侵入した。


「じゃ、開けてきます皆さん玄関の方へ」 


小柄で身軽のティムの提案は有り難かった。

窓が開いたとしても高さはあるし、幅も狭かった。

一人づつ乗り越えて行くのは相当骨が折れた筈だ。




ティム以外のメンバーで玄関前に集まり鍵を開けてくれるのを待つ。


「ウワー!」

屋敷の中からティムの叫び声が響く。


『ティム!?』


その声に皆が驚いた直後


『カチャリ』

と玄関ドアの鍵が外れた。

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