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石造りの村

ダド湿地には背の低い植物が多い。

少し顔を上げれば村がどの方向にあるのかが一目で見えた。

そのおかげて泥濘みを足早に抜けられ、早く到着する事が出来た。


「はぁ、やっと着いた」

デカはマスクを外し足元にドスンと荷物を置いて一息付いた。

額には京美の手形がクッキリと残っている。

プミミンに驚き思わず京美が叩いてしまった跡。


「流石に村の地面はしっかりしてるね、水上生活のバンガローみたいな家を想像してたけど、違ったわ」

マスクをクシャッと丸めてシロウに手渡す京美。


「この辺で人の住める土地はだいぶ限定される、デイビーズも聞けば直ぐにわかる筈だ」

几帳面に折り目通りに畳みなおし、収納袋にしまうシロウ。


「あっちに酒場がありますね、聞き込みしてみましょう」


村の殆どの建物は石造り、道も石畳でキッチリと舗装されている。ライトグレーの石は湿り気を帯びた濃い土の色とコントラストになっていて、カレンダーの写真として採用されてもおかしくない。


「この石ってバンガの石?」


「あぁ、そうだな、この辺は湿気が多いから木材だと持ちが良くない、だから建物は殆ど石材だ」


酒場も村とマッチした石材作り、樽が幾つも入り口に置かれていて、直ぐ側にはテラス席。その席には二人組の婦人が座りお喋りしながら食事をしていた。


「バンガ国に魔女が現れたらしいわ、知ってる?」


「知ってる知ってる、それで王に眠りの魔法をかけたとか」


「王だけじゃ無いわよ、まだ噂のレベルだけど国民でも患った人がいるらしいの……」


「そうなの!? 怖いわねぇ」



かなりの情報通、期待できる。


「お食事中の所大変申し訳ありません。 僕達は人探しをしているんですが少し伺っても宜しいですか?」

ティムが優等生な聞き込みをした。


「あら? 可愛い子ね 良いわよ何かしら?」


「デイビーズ家に仕えている、グレースという女性を探しています」


「デイビーズ? ちょっとわからないわ」


「ごめんなさいね、 マスターならわかるんじゃないかしら? このお店は歴史があるし、この辺に住んでてこのお店に来た事が無いって人は居ないと思うわ」


「マスターに聞いてみます、貴重なお時間をありがとうございました」ペコッと頭を下げる。


入り口は扉が開放されたままにしてあり入りやすい。

中ではマスターが調理をしているのか食欲を誘うスパイシーな香りがテラス席まで漂ってきている。


「御頭、俺腹減ってきました」

お腹をさすりながらデカは言う。


「情報聞くだけだと申し訳ないし、ついでに食事もしようか?」

京美も賛同した。


店の中に入ると石造り独特のヒンヤリとした空気感

薄暗さはあるが採光の為、小さな窓を沢山取り付けていて、それが店のアクセントになっている。

カウンターではマスターが皿に料理を盛り付け忙しなく働いている。


他には二人

一人は帽子をラフに被った白く長い髭の老人男性

端の方に座り壁に体を預けてうたた寝しているようだ。


もう一人はカウンター席に座る小太りの中年男性

目の前には既に空になった皿があり、次の料理を待っている。


マスターは京美達の姿を見ると

「いらっしゃい、好きな席に座って」と気さくに声を掛けてきた。

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