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尻もち

「ここを見てみろ」

白の一角は治癒草の背景を指差す。


「あ!ホントだ」

ティムは弾むように反応する。


「え? よく見えない」

京美は目をしかめて携帯の画面を遠ざける。


ちょっと……年齢の壁を感じる。


仕方ないので拡大してみる。


「あ!」


背景にダルマの様なシルエットの動物が写っている。

確かに、あの時フラッシュで驚いて逃げた動物がいた。


「これ、もしかしてタムトタムト?」


京美は先程遭遇したばかり、画面はよく見えなくても

それがタムトタムトである事がわかった。


「そうだ、間違いない」


「でも、何でそれが治癒草の場所を特定する事になるの?」


「タムトタムトは一定の場所にしか生息しないんだ、かなり場所は限られる。だからか…大量のタムトタムト、あれは治癒草の効果で異常繁殖したに違いない」


「確かに、治癒草があれば病気や怪我で死ぬ事は殆ど無くなりますしね」


「よし! じゃあ場所は絞り込めたんだね!」


「あぁ! 見つけられる筈だ」




──アジトに全員集合し経緯をヤーシャ族達に説明する。


ヤーシャ族達は聖獣をアジトに連れてきた事に最初かなり驚いていたが、アリナが側にいても大人しくしている様を見て安心したようだった。

デカは手当てはされてはいるが息も絶え絶えでかなり危険な状態だった。


皆て焚き火を囲み作戦会議。

「場所は特定できたとして、夜が明けちまったな」


『そうだね、光っていたとしても見つけられない、どうしようね…」

京美は答える。


『……』

またもや、行き詰まってしまった。



ティムは腕組みをし、上を見上げると「あ!」と言った。


「どうした?」

白の一角は聞く。


「これですよ!これ!」

ティムは頭上を指差す。


「木がどうかしたの?」


「いえ、木ではなくこのタープです!これってどれ位ありますか?」


「これは、獲物の皮で作った物だから数はある……そうかわかったぞ」




──先ほどのタムトタムトの巣では

獣の皮を被った十数人が野探しをしている。

草を見つけては自分ごと皮で覆い、槍や手で払ってみる。

好都合な事にタムトタムト達は聖獣の襲撃に驚き、巣には戻ってきて無いようだ。


『無いぞー』

『これも違うか…』


それぞれが治癒草を真剣にさがしている。


京美達も真剣だ。

毛皮の中は若干獣臭かったが気にしてなどいられない。

「絶対に見つけてやる……イテテ、この姿勢は腰にくるわ」


「あいた!」思わず、尻もちをついてしまった。


その時。


皮で作った薄暗さの中、京美の眼前にフワリと光が舞った。


「あったよ!!!!」




──アジトに戻り皆でデカを囲む

デカの肩には包帯が巻かれていたが、かなり血が滲んでいた。

包帯を外してみると、大きな爪痕の傷。


京美は両手をお椀を作るような形にして、中に治癒草の種子を運んできた。

そのままデカの肩の上、手をそっと開いた。


キラキラと落ちる光の粒子

肩の傷はジワジワと塞がった。


『やったー!!』


京美もヤーシャ族もティムもアリナも関係なく、

みんな手を取りあって喜んだ。



「そうだ、この子にも…」

京美は聖獣に近づくと、傷ついた瞼に手を触れた。

傷はみるみる塞がり。


聖獣は京美の足元にゴロゴロと体を擦り付けた。

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