マスクのひみつ
謎の男はどのように死の石を使ったのか?
そして、目的は一体何なのか?早急に突き止めなくてはならない。
京美の足元にゴロリと転がる筋肉の塊【アダム】さえも一瞬にして眠らせてしまうような危険な代物なのだから……。
「それで、申し訳ないのですが京美さんがメインでフィリップさんとアダムさんのお体を調べてもらって良いですか?」
それはティムの発言だった。
「えっ!? なんでよ??」
京美は心底驚いた。
こういう事(難しい事とか調べ物)といったらティム担当みたいな風に思っていたからだ。
「京美……。」
シロウは自分の口元をトントンと指先で叩いた
「何? 何? 口がどうかしたの?」
そんな事を言いながら京美はシロウの仕草を真似るように指先を口元に運んだ。
カサリッ
指先に布が当たる音。
「あ、そうか……もしかして私だけが今マスクをしているから……?」
「はい。【死の石】は粉末状になっています。捜査中に吸い込む危険がありますので、京美さん……どうかお願いします!」
「そういうちゃんとした理由があるなら勿論やらせていただきますよ。そんな頭を下げなくてもさ〜……いつもみたいに揶揄ってるのかと思ったブツブツ……」
「しかし……京美。タイミングが良かったな……マスクを着用済みとは」
「言われてみれば確かにそうですね……何でマスク付けてたんですか?」
「なっなな!!! 何でもないよ!! 急がなきゃね!! ほら二人の体を調べなきゃ!!! あーー忙しい忙しい!! 会話とかしている暇は無いよ!!」
(絶対にティムにだけは知られてはならない……私が絶賛歯抜け状態でいることを!)
「なんだか怪しいなぁ……ねぇアリナ、京美さんのマスクの理由を知らない…?」
親切で優しい良い子のアリナはハッ!とした顔をした。
(そうかそうか……アリナは優しい子だから私の歯の秘密は守ってくれるんだね……頼んだよアリナ)
「あのね、さっきキョウミの歯が……」
(ちょ!!! アリナは優しい子それは確か! でもそれ以上に素直な子だった! 誤魔化すとか絶対できないんだったわ)
「アアアァリナ!! 向こうの部屋にいって何か布持ってきてよ! 服とか持ってきて!! 手袋代わりにするからさ! ほらダッシュダッシュ!!」
「俺が行こうか?」
「もう!!シロウは動かなくていいんだって!! アリナがいいの!!」
「何を怒ってるんだ?」
「いや、ほら……ブレンダさんの服とかあるかもしれないしさー女が触った方がいいでしょ?」
「……それもそうだな」
「うーん……怪しい」




