決定した選択肢
「ねぇ京美さん、私に手伝える事は無いかしら?」
それはブレンダからの提案だった。
京美はパッと顔を上げコクコクと何度も頷いた。
「助かる! 助かるよ! ブレンダさん!」
鉱山に向かう時でさえドレス姿でいたブレンダ。
京美が持つブレンダの印象は浮世離れしていて頼り無いそんなイメージだったが、今は猫の手も借りたい状況。
誰が良いとか誰が嫌だとか贅沢は言っていられない。
「……それで京美さん。私は何をお手伝いすればいいのかしら?」
京美は考えた。
今は兎に角人手が必要だ。
ティムたちにこの状況を一刻も早く知らせサーカステントに来てほしい。
「じゃあブレンダさん……フタツ面の森にいるティム達にこの事を知らせてほしい! 男が居たら危ないし……私が死の石の残りを回収しに行くよ」
ブレンダは薄っすらと笑みを浮かべ静かに言った。
「……ティムさん達はフタツ面の何処にいらっしゃるのかしら?」
「あー……火事で燃えちゃったけど、ほら大樹があるでしょ? あの付近で準備してるんだけど」
ブレンダは黙ったまま静かに首を振った。その様子を見るにどうやら大樹の場所を知らないらしい。
ならば……。
「じゃあ、死の石の回収を頼むよ……。でも、その男が近くに居たら何もせずに戻ってきて」
「わかったわ。お屋敷の何処にあるのかしら?」
「実は屋敷内には無いんだよ」
京美はニヤリと笑った。
「ええっ!? そうだったの? どうりで……京美さん流石ですわね。……きっとあの男は死の石を探せていないわ……それで、何処にあるのかしら?」
「庭で寝そべってるダイマルのお腹の下を探ってみて。ブレンダさんだったダイマルも知ってるし吠えたりしないはず」
京美はブレンダの華奢な掌を強く握り締め、ブレンダはそれに答えるように強く頷いた。




