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デカ、アカ

「お前ら大丈夫か!?」

槍を手に持った白の一角が二人の所に駆けつけた。

チラッとデカイヤーシャ族の傷を見て


「こっちこい! バケモノ!」と憤怒し戦闘態勢とる。


「ちょっと待って!……大丈夫かも」

自分にゴロゴロと喉を鳴らして擦り寄る聖獣を見て

”マル”の姿を重ねていた。


京美の言う様に実際にその後

聖獣は襲ってくる事はなかった。

京美の側から離れず、

瞼の傷が痛むのかクー…クー…と鳴く。


「聖獣が懐いているのか!? お前、何者なんだ」


「御頭!」

他のヤーシャ族達も戻って来た。


傷を負ったデカイヤーシャ族、京美と側を離れない聖獣

両方の様子を見て白の一角は言った。

「デカをアジトに運んで手当しろ」


「待って、あの子達の綱も解いてほしい」

二人が心配だった京美はお願いする。


「そうだな…おいアカ、

  村のガキ達の縄をほどきに行ってくれ」


「はい!」赤い一本角の鬼は返事をした。


意外だと京美は思った。

素直にお願いを聞いてくれた。

戻って助けに来た。デカイ奴もこの人も。

何より、一人も人数が減っていない

つまり仲間を置いて逃げる奴はいなかった。

(見た目ほど悪い奴らじゃない?)


「俺はこの女とここに残る、

  お前らはいったんアジトに戻ってくれ」


「御頭……」


「大丈夫だ、行ってくれ」



京美と白の一角と聖獣、

──静けさを取り戻したフタツ面の森。


「悪かったな、危ない目にあわせた」

ポツリと言う白の一角。


「ホントにね あんた屋台村のいざこざで私を攫った訳じゃないみたいじゃん?」

言いながら京美は聖獣に恐る恐る手を伸ばしてみる。

フワフワした手触り


「お前が着ている、その模様に興味があった」


「これに?この子の模様と一緒だから?」


頷く白の一角。

「そうだ、俺はその聖獣に興味がある。─いや正しくは違うか」


「ハッキリしないね、良からぬ事だったり?」


「違う!!」

バッと顔を上げ感情剥き出しの白の一角。


「な、急に何?びっくりした、じゃあ何なの?」


「それは…」




『京美さーん!』

少し先に三人の人影

ティムが大きく手を振っている。

赤い一本角は怒っているアリナにペシペシ叩かれ

「イテ!イテ!」言っている。


走り寄ってきたティムとアリナは

京美を見るなり驚愕した。

「ちょっと! 京美さん…。側に居るのひょっとして」


「あぁ、この子?なんか懐かれちゃったみたい」

頭をひと撫ですると

聖獣はゴロンとお腹を上に向けた。


ティムは啞然として立ち尽くし

アリナは聖獣に近づくとフワフワしたお腹に抱きついた。


「お、恐ろしい、ヤーシャ族だけでなく

 聖獣まで手懐けたんですか?京美さんは魔王だったり?」


「何ー!?」


「わー!」

掴み慣れた頭をヘッドロックする。




『お、御頭ーー!!』

アジトに戻ったはずのヤーシャ族の一人が

慌てた様子で走り寄ってきた。


「何だ? どうした?」


息荒くヤーシャ族の男は言った。

「デカの様子が……!」

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