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飴細工選手権③

 職人魂全開の男二人の邪魔にならない様に、京美は次の選手の背後に歩みを進めた。(既に京美の審査で優勝候補から除外されているが……)


それでは、続けて次の選手達を紹介しよう。


華奢な肩のラインが特徴的な美白兄妹、アリナとティムの仲良しコンビ。

二人の飴細工をしている姿は可愛らしく、意識せずとも自然に笑みが溢れてしまう京美。


「どれどれ、上手に出来たかなー?」と母親気分で二人の作品を覗いてみる。


「!!」


京美は(おのの)いた!!

前の男二人の芸術作品とは違った意味で!!


先ず最初はアリナの作品。

どーーーー見ても……『羽』では無い。


その飴細工はずんぐりとした球体にニョキリと細い4本の手足らしき物がつけられている。


(ははーん、わかったぞ。これはプミミンだね?) 


「アリナ、それプミミンでしょ? 上手に出来たね! 羽だけじゃなくて、プミミンの形があっても面白いかもね?」

京美はアリナの頭をワシワシと撫でた。


振り向いて、京美にニコリと笑顔で答えるアリナ。

京美もその笑顔に釣られニコリと笑い返す。


「ううん、これはプミミンじゃなくて『()()』だよ」


「あ、そっか。プミミンじゃなくて()なんだー」


「うん、そう京美なの」


「へぇー私かー私ねぇー…………。ぬ、ぬぁにぃぃーー!?」


アリナの手からずんぐりした飴細工をサッと取り上げる。


もっと近くで見て確認しなければ……! 

私の筈が無い! 

スタイルに関しては自信あるし!

私のボディフォルムはこんな丸っこくない!


急に製作途中の飴細工を取り上げられたアリナは恥ずかしそうに「まだ途中なのっ!」と両手を振ってワタワタと慌てふためいた。


アリナは決して不器用では無いと京美は思う。

死の石の埴輪にスカートを作ったり、お助け団の看板を作成していたし。しかし、この飴細工はいったい?どうして?なんでこうなった?


ティムは手を動かしたまま、冷静な声でこんな事を言う。

「いやぁ京美さん最近、お酒呑み過ぎてますからね」


ドキリ!


この世界に来た時に着用していたパンツとヒョウ柄トップスは大事に取ってあるが、最近は、()()()()()で専らヤーシャ族の毛皮の服で過ごしている。


その、─()()()()()とは


この世界のお酒と京美の相性が良すぎてしまった事が原因か?パンツがウェストに食い込むという不可解な現象が起きているのだ。


こんな事、前の世界ではあり得なかった事。


「僕はアリナの作品、結構良く出来てると思います」

ティムは京美の心に突き刺さる言葉を投げ続ける。


「ぐっ!!」

京美は反省した。

そして、今度からヤーシャ族の狩りにもっと積極的に同行しようと思った。


「アリナ、ありがとう気づかせてくれて」

京美は飴細工をアリナに返して、ふふふ…と力無く笑った。


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