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女三人の冒険③

「タコ焼き? 鉄板? とにかく詳しく説明しろ」

モーゼスの片眉は先程より鋭角な角度になった。


「この丸い物はアツアツな食べ物でー、外はカリッと中はフワ~リ! そしてプリプリしたタコが入ってるんです!」

村田は携帯を見せながら張り切って説明してくれているが、その内容はやたらと擬音が多くてタコ焼きを知らない人には絶対に伝わらないだろう。


「村田ちゃん説明ありがとう……でも、その言い方では理解してもらえないかも……?」


「えー? なんでですか?」村田は頬を膨らませて不満顔をした。


それまで黙って聞いていたモーゼスはフムフムと納得したかと思うと一言。

「外カリで中フワってヤツだな……?」


(いや、なんか通っぽい理解の仕方してるし!)


「取り敢えず、どんな鉄板が欲しいのか簡単に説明してくれ」


「大きな一枚の鉄板に半球状の窪みを沢山作って欲しい。窪みは半球で大きさはこれ位……」

京美は右手の指で円を作りモーゼスに見せた。


「なる程、この半球の窪みに食材を入れ焼きあげた菓子みたいな物か?」


「まぁ、正解かな? 甘くはないからお菓子ってよりご飯よりかなー?」


モーゼスは奥の部屋に行ったと思うと、手のひらサイズの木炭と大きな板を持ってきた。そして、徐にカリカリと何やら描き出した。


「こんな感じでどうだ?」


モーゼスが板に描いた図は簡易的な『設計図』だった。

それは、引き出しのついた机のような形をしていて、横には謎のハンドルが付いている。

一番上の鉄板には京美がリクエストした通りに半球が規則正しく並ぶ様に描かれていた。


「こんな短時間で!? 流石、職人さんですね!」

村田は目を丸くして驚いた。


「ねえ、この横に付いてるハンドルは何?」

京美はモーゼスに聞いてみた。


モーゼスは「フフ……」と自信ありげに口角を上げた。

「二段目には炭や薪を入れるんだ。熱が一番上の鉄板に伝わる様になっている……ハンドルは火力調整だ……回すと炭の入った二段目が上下する仕組みにしようと思ってな……」


「へぇー!」

自分の簡単すぎる説明と村田の拙い言葉で良くぞここまで理解できるものだと京美は感嘆の声をあげた。


モーゼスはその感嘆の声に満足して大きく頷いている。


ワンテンポ置いて京美は村田を肘で突いた。

「今だ!村田ちゃん……ほら言って……!」


「えー、やっぱり私が言うんですか……? アリナちゃんの方がカワイイし許してもらえそうだけどなー」


京美がキッと睨むと村田は少し間を開けて気まずそうにポツポツと喋りだした。


「睨んでるし……それで、お代なんですが……祭の後でも良いですか? 私達今は持ち合わせがなくて……」



モーゼスの片眉がこれ以上ない位、上がり切った。



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