表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/10

2話:未来

■――未来へ――


「ん?どうした。三笠みかさ。腹でも痛いのか?」


「ち、違うよぉ。なんでそうなるかなぁ?思考回路がおかしいんじゃない?」


「それは、ひどいな・・・」


少し、赤みがかった髪の少年。須藤すどう 連花れんか


彼は、極普通の少年である。


背もそこそこ高く、ルックスもなかなか良く、


たまに告白をされたりなんだりの話も少しはある、という少年だ。


そして、隣で思考回路について熱く語っている、三笠と呼ばれた黒髪の少女。


いつも明るい太陽のような、少女だった。


「ちょっとね。今、変な感じがしたんだよ。なんか、後ろ髪を引っ張られるというか・・・」


「つかい方、間違ってんだろ。それ」


「いいんだよ。表しようがないんだから、この感じは!!」


怒った口調で声を張る。雨宮あめみや 三笠みかさ


この二人は、幼馴染である。


今は、高校3年、7月14日。


もうすぐ、夏休みに入る直前の状態。


普通は浮かれてしまうのだろうが、3年ともなると、受験を控え、


勉強するのが普通なのだろう。


「連花は、夏休みどうするの?やっぱり、勉強?」


首をかしげながら、尋ねてくる三笠。


遠まわしに尋ねているが、どこかに行きたそうにしているのが、丸分かりだ。


こういう時は、直球で聞いたほうがいいだろうと、目星をつけ、


「何、どっか行きたいの?」


そういうと、三笠は、待っていましたといわんばかりに、笑顔の花が咲き。


「じゃあ、海に行かない?」


「海?俺って、泳げないんだよなぁ」


「えっ、そうだったっけ?じゃあ、どうしよう・・・」


うつむいて、考え込んでいる三笠は、チラリと連花を見た。


その視線を受けて、連花は一つ息を吐くと、


「いいよ、別に泳ぐだけが遊びじゃないし」


「やった、じゃあ、今度電話するね。そうだ、ついでに泳ぎ方も教えてあげるよ」


「いいよ、めんどくさい」


連花は、そういって手をひらひらとふって、先に歩いていってしまう。


二人は、今、帰宅途中。


三笠は、美術部、連花は陸上部に入っていて、


今日はたまたま帰りが一緒になったため、一緒に帰っている。


三笠は、連花の少し後ろを歩いて、なにか楽しそうに考えていた。


(聞いちゃいないな。しゃあない)


連花は、海に行くことを、少し後悔していた。


「じゃあ、また明日」


連花は、ぼそぼそとなにかつぶやきながら、考え事をしている三笠に声をかけた。


すると三笠は笑顔を連花に向け、


「じゃあね」


と小走りに、少し先の三笠の家にいってしまった。


「ああ・・・」


彼は、少し火照ってしまった頬をつねり、


(何やってんだ、俺。目が合っただけで、顔が熱くなる・・・)


空に浮かぶ、大きな入道雲を見つめた。


(俺は、あいつの事・・・)


青空は、どこまでも青く澄んでいた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ