第6話[イケメン転校生現る]
それからしばらく経ったある日の事。
ジョンは蛇乃がいない事を確認すると、達子に話しかけた。
「鬼頭さん、良かったら今日街を案内してくれないかな?その、できれば片代さん抜きで…。片代さんだけはどうも苦手で、もちろん他の人は呼んで貰って大丈夫だよ。血子さんとか隣にいる恭子さんとか、駄目かな?」
返事に困る達子。
蛇乃を除け者にするのは何だか気が引ける。
そんな事を考えている達子に隣に居た恭子がいいんじゃないと言って声をかける。
外国から来たんだ道も分からなくて不便なんだろう。
恭子がそう達子に話すと達子はわかったと言い、ジョンを案内する事に決めた。
ただ、蛇乃に知られる訳にはいかない。
恭子はあらかじめ待ち合わせ場所を聞いてそれぞれが待ち合わせ場所に向かうよう提案する。
一緒に行動して蛇乃にバレたら大変だからだ。
個別に動いていれば、もし蛇乃に見つかっても用事があるで何とかなるだろう。
だが、私と達子が行動を一緒にしていて用事があるって言えば、蛇乃はきっと傷つくだろう。
それに殺人計画表まで書いてた奴だ。
正直にジョンに誘われたからと言えば、蛇乃はジョンを殺しにかかるだろう。
目を瞑ると蛇乃がジョンを殺すシーンが目に浮かぶ。
恭子は身震いをして、達子と一緒に待ち合わせ場所を決める。
放課後。
恭子のクラスの方が早く終わり、こそこそと待ち合わせ場所へ向かおうとする。
いつもは通らない人通りの少ない道を通り、デタラメ学園の南門へ向かうとする恭子。
ジョンの姿を見かけ、足を止める。
「これでよし、これで僕も世界最強か。」
ジョンの言葉が聞こえ、恭子は慌てて物陰に隠れた。
世界最強…?
何言ってんのあいつ?
物陰からこっそりとジョンの様子を伺う恭子。
「ナラクノハナ、彼女の悔しがる姿が目に浮かぶ。」
一人笑うジョン。
ナラクノハナと言う言葉を聞いて、恭子はジョンが何者なのかを思い出す。
三王の一人。
ジョン・ブライア。
恭子はフランス語が理解できなかった為、ジョンの名前が分からなかった。
だけど、容姿とハナの名前を聞いてようやく思い出した。
父、恭之助とナラクノハナの準決勝試合。
中々決着がつかない事に痺れを切らし、決勝進出を決めていたジョンが二人の試合に乱入した。
結果、十何時間もの激闘の末、三人が倒れ引き分けになる。
優勝は三人となり、三王と呼ばれるようになり、中でもジョンは史上最年少で優勝していた為、かなりの知名度だったが、恭子はハナのファンであり、ジョンの事はよく分からなかった。
とりあえず、三王の一人だと分かり恭子はジョンの前に姿を現した。
ジョンが何を企んでいるのか知る為に。
「世界最強?何の話し?詳しく話して貰うわよ。」
そう言って現れた恭子にジョンはため息を吐く。
最後の最後に作戦は失敗した。
そう呟くとジョンは恭子に今までの作戦について話し出した。
鬼頭達子と片代蛇乃を引き離し、片代蛇乃を叩く。
これがジョンの作戦だった。
「なっ、達子と蛇乃を引き離した所で何の意味があるのよ。」
達子と蛇乃を引き離した所で何の意味もない。
恭子はジョンが何をしたいのか理解できないでいた。
「あなたが言った事じゃないですか。達子の前だと蛇乃が強くなると。」
恭子はデタラメ学園で蛇乃と再戦した時を思い出す。
あの時蛇乃は達子の前だと無敵みたいな事を言っていたのを思い出す。
よくよく考えてみれば、私を倒した時もお父さんを倒した時も側には達子が居た。
逆に中学生時代、達子はいなかった。
だから私と互角に…。
だとしたら、何であいつがその事を知っている訳?
あの場には誰も…。
恭子は先程のジョンの言葉を思い出す。
私が言った事…。
確かあの時、お父さんに言ったかも。
お父さんに負けた事を報告した時に…。
「くそ〜、達子さえいなければ勝てたのに。」
そうだ。
あの後、お父さんに色々聞かれて答えたっけ。
きっとお父さん経由であれが漏れたんだ。
だからジョンが知って実行しようとしてるんだ。
ごめん蛇乃。
責任は取るから。
意を決して恭子はジョンを睨んだ。
「恥ずかしくないの?弱くなった相手を倒して満足な訳?」
そう、格闘家なら全力全身の100%の状態で倒さないと意味がない。
そんな腐った根性をしているなら、私が叩き直してやる。




