第5話[鬼頭達也という男]
特に血子、ユッケやお肉の刺身などを一度に五人前づつ頼む。
ユッケなどは大体千円くらいなので血子だけで一万はいく。
蛇乃や恭子もいろいろ頼んでいたがファミリーデラックス盛りが効いたのか、表情に余裕がなくなってきている。
「無理しなくてもいいんだよ。」
達也は笑顔を向けて二人に言うが、二人は大丈夫と言って食べ続けた。
冷や汗がでる達也。
話しに聞いていたけどやっぱり六万はいくのかな。
そんな事を考えている間に血子がおかわりをする。
生肉を食べ、時には焼いた肉を食べる。
普段からなのか、今日は特別なのか分からないが、よく食べる。
いや、恐らく…。
血子の方を見て考え込む達也。
達子が心配そうに達也を見つめる。
「もう駄目、限界。」
そう言って箸を置く蛇乃。
恭子も限界だったらしく蛇乃と同時に箸を置く。
それを見て安堵する達也だったが。
「すみません。特選焼き肉盛り一つ。」
血子は止まらなかった。
遠慮するように麗が言っても聞かない。
蛇乃は嬉しそうに血子を見ている。
仕方ない。
達也は腹をくくり血子に言う。
「遠慮せずに満足するまで食べてね。」
どうせ六万だ。
それ以上はいかない。
まあ、六万でもかなり痛いんだが、仕方ない。
そんな事を思いながら血子が食べ終わるのを待つ。
しばらくして、血子はご馳走様と言って手を合わせた。
伝票をレジに持って行って会計をする。
達也は六万払いお釣りを財布にしまった。
達子が心配そうにやって来る。
「お兄ちゃん、帰ったら少ないけどお金渡すからね。」
達也は笑顔を向けて達子の頭を撫でる。
「達子ちゃんは心配しなくて大丈夫だよ。もうすぐ給料日だしね。」
まだ給料日まで先だが、達也は達子を心配させまいと嘘をついた。
そして、夜空を見つめながら達也は思う。
今夜は父さんと母さんに土下座かな。




