第5話[鬼頭達也という男]
先に五十点取れば勝ちというルールで試合が始まる。
先手は達子、達也ペア。
達子はドリブルをしながらゴールを目指す。
そんな達子の姿を見つめる蛇乃。
片手を頬に添えうっとりとした目で見つめる。
「ちょっと、何やってんのよ。」
恭子は蛇乃にそう言って、達子のマークにつく。
達子と恭子が睨み合う。
さあ、達子の実力がどんなものか見させてもらうわよ。
そう心の中で呟く恭子だが…。
さっきから見ているけど、ドリブルが高い。
これじゃあ、簡単に取れるけど…。
一生懸命ドリブルをしている達子を見て、何故蛇乃があんな事を言ったのか理解した。
なるほど。
こんな可愛い達子からボールなんて取れないわ。
恭子の横をすり抜け達子はシュートを打つ。
リングから跳ね返ったボールを拾い、再び達子はシュートし打った。
今度は上手くゴールが入り、達子のチームに点が入る。
「ちょっと蛇乃、勝てる気しないんだけど…。」
弱気の恭子に蛇乃は大丈夫よと言って笑顔を向けた。
「達子無双も弱点はあるから。」
そう言って蛇乃はボールを手にドリブルをはじめた。
達子がマークにつく。
「通さないからね。」
そう言って達子は蛇乃からボールを奪った。
「あちゃー、達子には敵わないな。」
そう言ってデレデレな蛇乃のもとへ恭子がやって来る。
「何が大丈夫よ。弱点なんか無いじゃない。むしろ無敵じゃん。」
恭子の肩に手を置き、蛇乃が言う。
「まあ、次のプレイを見たらわかるわよ。」
恭子は不安を抱きながら次のプレイを始める。
達子がドリブルをしながらやって来る。
恭子は達子をマークしながら蛇乃が言っていた弱点とは何なのかを考える。
「お兄ちゃん。」
達子はそう言って達也にパスをする。
そのパスを蛇乃が奪い達子チームの攻撃が終わる。
「分かったでしょ。達子は優しいから自分以外の人も活躍させようとするの。」
それを聞いて納得する恭子。
なるほど。
確かにこれなら達子を傷つけなくて済むわ。
でも、攻撃はどうするんだろう。
そう疑問に思いながら蛇乃チームの攻撃が始まる。
「はい、恭子。」
達子が来るまでにパスをだす蛇乃。
恭子はそのパスを受け取りレイアップシュートをしゴールを決めた。
なるほど、達子を抜くのは無理だから達子が来るまでにパスを出せばいいのね。
これなら勝てる。
恭子はそう思いながらディフェンスに戻る。
達子チームの攻撃。
達也は達子にパスを出すが蛇乃に奪われ失敗に終わる。
「くっ、流石蛇乃ちゃんだ。」
悔しがる達也。
達子が相手じゃなきゃ手加減する必要がない。
ましてや相手が達也なら全身全霊で挑むだろう。
蛇乃にとって達也はゴキブリより嫌いな存在で、地球上の誰よりも達也にだけは負けたくないと思っているからだ。




