第5話[鬼頭達也という男]
蛇乃は達子の胸に顔を埋め泣きながら言う。
「誰にも頼る人もいないし辛かったよ〜。」
その様子を見ている恭子は思った。
パパはどこ行った。
達子が蛇乃の頭を撫でる。
「大丈夫、私が蛇乃を守ってあげるから。」
自信満々の達子に蛇乃はうんと頷き、更に強く達子を抱きしめる。
「まずはお兄ちゃんに相談してみるね。」
達子のその言葉を聞いた蛇乃は泣き止み、達子から離れ真顔で言う。
「やめて。」
いきなりの事で戸惑う達子に蛇乃は続けて言う。
「達子、何いきなり他の人の力を借りようとしてるの?それに、私あいつに借りは作りたくないし。」
ごめんと謝る達子。
そんな事をしていると蛇乃の家に警察がやって来た。
父親と共に警察と話しをする蛇乃。
達子はトボトボと歩き恭子の存在に気がついた。
「恭子ちゃん、来てたんだ。」
恭子は頷き、自分の父親が原因だからと達子に話す。
二人は階段に座り蛇乃が帰ってくるまで話しをする。
「それにしてもすごいね蛇乃。世界最強になっちゃったよ。」
そう恭子に話す達子。
「いやまあ、その…。公式では世界最強にはなっていないんだけどね。」
恭子の話に理解できないでいる達子。
そんな達子に恭子は説明する。
世界最強を決めるトーナメント、デストロイ杯。
その大会で優勝して初めて世界最強の称号が得られる。
「つまり、公式的にはまだお父さん達が世界最強なのよ。まあ、デストロイ杯は不定期に開かれるし、お父さんも記者会見開いて負けを認めているから、実質蛇乃が世界最強なんだけどね。」
ため息を吐く恭子。
差異狂流を世界最強の流派にするんだと頑張ってきたけど、まさか友人に先を越されるとは…。
これからはもっともっと頑張らないと。
そう思い、熱く燃える恭子。
話しを終えた蛇乃がこちらへやってくる。
「もう少ししたらマスコミとか帰るってさ。」
そう言って蛇乃は二人を自分の部屋へ連れて行く。
「学校にも連絡してあるし、あいつらが帰るまで、のんびりしとこ。」
そう言うと蛇乃はベッドに横になる。
特にする事がないので三人は適当に時間を潰す。
マスコミとかが帰ったのを確認すると、三人は学校へ向かった。
学校へ着くなり不機嫌になる蛇乃。
蛇乃の周りから黄色の声援が飛び交い、女子生徒達に囲まれる。
達子以外興味ない蛇乃にとって、それらは不快でしかない。
「サインください。」
適当にサインを書く蛇乃。
「握手してください。」
両手で握りファンサービスをする蛇乃。
「笑顔をください。」
最高の作り笑顔をする蛇乃。
その様子を見て恭子は思った。
なんだノリノリじゃん。
こちらにやってくる蛇乃に恭子が言う。
「以外とチヤホヤされるの好きなんだ。」
恭子の頭にげんこつをする蛇乃。
蛇乃は達子に聞こえない様に恭子に耳打ちをした。
「嫌な態度とかとって虐められたらどうするの。私は平気だけど、達子はそういうの見過ごせないから。変に私を庇って達子が虐められるより、こうして愛想振りまいていた方がいいでしょ。」




