第1話[もうこんな学校イヤ]
「いや、別にこの学校じゃなくてもいいよね。」
どこの学校でも、リコーダー舐めたりシューズの匂いを嗅いだりするのはおかしいと思うんだけど。
「この学校じゃなきゃダメだよ。だってこの学校、変人が多いから。」
笑顔で答える蛇乃に達子は思わずえっと呟いた。
変人が多いってどういう事だ。
人のリコーダー舐めたりシューズの匂いを嗅いだりするようなのがいっぱいいるって事だろうか。
「えっと、受験問題かなり難しかったよね。面接もあったし、それで変人が多いのはおかしくない。」
達子のその言葉に蛇乃は驚いた顔をする。
「達子知らないの、この学校はくじ引きで合否を決めてるんだよ。」
絶叫する達子。
「なにそれ、じゃあ、あの試験は、面接は、何の意味があったの。」
蛇乃の胸ぐらを掴みぶんぶんと揺さぶる。
「きゃっ、達子激しい。」
蛇乃の胸ぐらから手を離す達子。
「ちゃんと真剣に答えてよ。」
悲しそうに言う達子。
そんな達子を見て、蛇乃は溜め息を吐いた。
「ごめんね達子。まあ、こんな学校でも一応は学校だから。試験や、面接は必要だったんじゃないかしら。じゃなきゃ暇つぶしね。」
暇つぶしと達子は俯き呟いた。
「あはは、じゃあ私、くじ運だけで合格できたんだ。大切な高校生活をくじ運だけで…。」
「いや、さすがの私も半々とかだったらこの学校を選んで無かったわよ。95%の確率で合格できるからこの学校を選んだの。」
その言葉を聞いた達子は今までに見た事のないような顔で蛇乃を見つめた。
「うう…、そんな絶望した顔して私を見ないでよぅ。」