第1話[もうこんな学校イヤ]
校門前に立っている不良と目が合う。
怖い。
びびる達子に対し蛇乃はカバンから合格通知を取り出し不良に見せた。
「ほら、達子も。」
蛇乃に言われ達子もカバンから合格通知を取り出し、震えながら不良に見せた。
「おう、通っていいぞ」
そう言われ、達子は逃げるように校内へ駆け込んだ。
「はぁはぁ、あいつ教師だったんだ。」
息を切らせ言う達子に蛇乃は軽くチョップした。
「痛い。何するの蛇乃。」
「私を信じなかった罰よ。」
ふてくされる蛇乃。
達子はごめんと謝り、蛇乃の機嫌をとるが中々許してくれない。
「駅前のジャンボパフェを一緒に食べてくれたら許してあげてもいいけど。」
「うん、いいよ。今度食べに行こう。」
その返事を聞いて蛇乃の機嫌が良くなる。
クラス発表を見に玄関へ向かっている途中、達子は蛇乃に何故この学校を選んだのか尋ねてみた。
歩みを止め俯く蛇乃。
「それは…。」
蛇乃の様子を見て達子は思った。
中学校に入学してから卒業まで、蛇乃はずっと学年トップだった。
皆んなからの期待はすごいものだったのだろう。
だからこんな変わった学校に…。
などと達子が考えていると…。
「達子のリコーダーやシューズの匂いを堂々と嗅ぐためにこの学校を選んだの。」
「はい?」
今日一番に驚く達子。
そんな達子に蛇乃は続けて言う。
「私、達子の事が好きなの。」
蛇乃の告白に達子は戸惑った。
先程の変態発言の後の告白なんてムードも何もあったものじゃない。
とはいえ、達子自身まだ誰かを好きになった事はない。
女の子同士とはいえ、蛇乃と一緒にいるのは楽しいし、一緒に暮らせるか言われれば暮らせる。
だけど、それが恋愛の好きかと聞かれれば…。
って、今はそんな事考えている場合じゃなかった。