第3話[達子大ピンチ]
昼休み、大きなお弁当箱が周りの視線を奪う。
小声でコソコソと話しているみたいだけど、何を話しているかなんて大体の想像がつくわ。
あの子学食たべて、あのお弁当も食べるみたいよ。
あの量食べるなんてすごいな。
うわー、すげー。
とかそんな事言ってるんでしょ。
本当に恥ずかしい。
今まで達子以外にどう思われたって平気だったけど、流石にこれは恥ずかしいわ。
帰ったら、お母さんと呼んでやろうかしら。
などと考えながらも、後々面倒くさい事になるので、そう呼ぶのは諦める。
「ねぇ、学食たべずにお弁当食べた方がいいんじゃない。」
心配そうに言う恭子に蛇乃はうるさいと泣きながら言って学食を口に運ぶ。
「すごく美味しいね。」
そう言って学食をたべる達子に、ねっ!と言って笑顔で返す蛇乃。
お弁当の事など忘れ学食を食べ進めようとするが…。
周りの視線がうざい。
そんなに見られたら食べ辛いし、お弁当の事を意識してしまう。
ため息を吐き、この視線が達子から向けられたものならばなんと良い事かなどと考えながら少し妄想する。
こちらを見つめる達子。
それだけで可愛い。
幸せ。
だけど、ドキドキしすぎて心臓が爆破しそう。
でも、美味しい?と言って首を傾げる姿を想像したら、もうたまらない。
写真に撮って、引き伸ばして部屋に飾りたい。
それを見ながら…。
「蛇乃、大丈夫?」
余程変な顔をしていたのだろうか、達子が心配そうに話しかけてきた。
いけない。
私ったら食事中に、はしたない。
学食を食べ終えた蛇乃は深くため息を吐いた。
これからこのお弁当を食べなくちゃならない。
さすがに無理だ。
残して帰れば母が泣く。
かなり面倒くさい事は目に見えている。
ならば捨てるか?
母の事を思うとそれはしたくはない。
どの道捨てて、食べきったよっと嘘をつけば次の日にはまたこのサイズのお弁当が出てくるだろう。
ならばいっそ残して無理だと言うべきか、夜に残りを食べればいいし、面倒くさい事になるけどこれしか方法がない。
そんな事を考えながらお弁当をひらく。
少しでも食べ進めなければ夜がきつくなる。
いくら晩ご飯でもこのサイズはきつい。
父は恐らく、私の分の晩ご飯を処理しなければならないから手伝ってはくれないだろう。
ならば、今ここで少しでも減らしておかないと。
今なら達子も手伝ってくれるし。
そう思いながら達子を見る。




