第3話[お嬢様は不登校]
翌日、アリスは校門の前で達子を待っていた。
達子の姿を見るなり駆け寄るアリス。
そして、頭を下げて謝った。
恭子達は何があったのか知らず困惑する中、達子はアリスを許した。
「じゃあ…。」
アリスが達子の手を握ろうとするが、達子はそれを避ける。
「アリスちゃん、私の意見は変わらないよ。学校の事で分からない事があれば、助けるし、協力もする。だけど、それ以上の事はしない。」
そう言うと達子はアリスの横を通って行く。
アリスの頬に涙が伝う。
そんなアリスに蛇乃は小声で話しかけた。
「今よ、呼び止めて過去の話しをしなさい。」
それを聞いたアリスは全力で叫んだ。
「待って。」
周りから注目される。
それでもアリスは気にしない。
今のアリスには達子の事しか見えていないからだ。
「待ってよ。私の話しを聞いて。」
そう言うとアリスは自分の過去を語った。
修道院家というだけで、周りから特別扱いされた。
幼稚園の頃から小学生の頃までずっとだ。
そんなある日の事。
大好きな兄と時間を共にしていた時、ふと今日の出来事を語り出した。
ただの気まぐれで参加したボランティアに変な奴が居た。
そう話すアリスの兄。
ボランティアに全力で取り組み、週五以上は何かしらのボランティアに参加しているのだという。
泥だらけになりながらも空き缶、タバコの吸殻、犬の糞まで処理していく変な奴。
見返り何てたかがしれている。
缶ジュース一本程度だ。
その事を話すと彼は笑って答える。
「見返り何て求めるものじゃない。なんてのは嘘だよ。僕もちゃんと見返りを貰っている。君も頑張れば、それ相応の見返りが貰えるかもよ。」
などと言って頑張る彼を見て、アリスの兄も頑張ってゴミを拾った。
見返りを期待してじゃない。
ただ単に、同年代の彼が頑張っているのを見て、自分は何もしないのが嫌だったからだ。
慣れてる彼と違い、アリスの兄は苦労した。
それでも何とか頑張ってゴミを拾い続けた。
そして…。
「はい、ジュース。」
やっぱり缶ジュースだけか。
何がそれ相応だ。
そう思いながらジュースを飲む。
「どう?頑張った後のジュースは格別でしょ。」
笑顔で話す彼にアリスの兄は正直に答えた。
「いや、別に。」
「あらら。」
ガッカリする彼を見て、少し笑ってしまう。
アリスの兄もまた、今まで特別扱いされてきた。
彼の様に接してきた人間は初めてだった。
「見なよ。あれだけのゴミが落ちていたんだよ。」
集められ、山積みになったゴミ袋。
あれだけ道に落ちていたんだと思うと確かにすごい。
「公園では小さい子、川では昆虫や魚などの生き物達。道路では多くの人達が利用する。僕はね、みんなが笑顔で過ごせる様にしたいんだ。みんなの笑顔、これが僕の見返りさ。」
真剣に語る彼の話しを真顔で聞くアリスの兄。
みんなの笑顔。
それが彼の頑張る理由か…。
変な奴だ。
だけど、今日は少し楽しかったかも…。
そう思いながらアリスの兄はジュースを飲み終えた。




