第12話[ハナの過去]
そして、デストロイ杯開催日当日。
トーナメント表を見る限り、順調に勝ち進んで行けば、準決勝で恭之助とあたる。
心配する師範を他所に、ハナは闘志を燃やしていた。
これで復讐ができる。
ハナは順調に勝ち進み、そして準決勝、ハナの前に恭之助が現れた。
試合開始の合図と同時に距離を詰めて来る恭之助にハナは蹴りを入れる。
それでも、距離を詰めようと動く恭之助だったが、ハナの動きは素早く、距離を詰める前に蹴りを喰らってしまう為、恭之助は距離を詰めるのを諦めてしまう。
いける。
そう思い、恭之助に攻撃を仕掛けるハナだったが、カウンターを喰らってしまい、ダメージを負ってしまう。
両者、攻撃しては反撃を受けるといった攻防が続き、痺れを切らしたジョンが乱入してきて、三者共に倒れに終わってしまった。
医務室で目覚めたハナは不甲斐ない結果に苛立ちながら、医務室を出た。
帰り支度をする為、控室へ向かう道中、ジョンと出会した。
母の為だと甘い事を言うジョンを見て、反吐が出そうになる。
こんな奴と同じだなんて、私もまだまだだな。
思った事を口にし、ハナはその場を去った。
そうだ。
私は間違っちゃいない。
ジョンの情け無い姿を見て、ハナは確信する。
格闘技は誰かの為にやるものじゃ無いんだ。
自分自身の為に…。
帰国したハナは更に自分を磨く為、旅に出る事を決意する。
そして、帰国してから数日後。
ハナは空港で飛行機を待っていた。
そんなハナの前に親友のメアリーが立つ。
「もう、いいんじゃないかな。これ以上、頑張る必要は無いよ。だって、世界最強になったんだよ。それだけでも、本当にすごい事だよ。」
それを聞き、ハナは鼻で笑う。
「同率一位じゃ意味が無い。」
そう言うとハナは立ち上がり、メアリーの横を通る。
そんなハナをメアリーは呼び止めた。
「意味が無いなんて事無いよ。」
メアリーの声が空港内に響き渡り、周りがこちらを注目する中、メアリーは続けて叫んだ。
「もう充分だよ。これ以上続ける必要なんて無いよ。」
涙が止まらない。
それでも、メアリーは続けた。
「これ以上やるとハナが…。ハナが死んじゃう。」
親友だから話した。
親友だから分かって貰えると思った。
だけど…。
「メアリーさあ、何で格闘技やってるの?」
邪魔をするなら、私はそれを切り捨てる。
「私、知ってるんだよ。もう、メアリーの病気、治っている事。」
そう、例え親友だとしても。
「なのに、病気を理由に強くなろうと努力もせずに格闘技を続けて、そんな奴の言葉が私に響くと思う?思わないよね。」
泣き崩れるメアリーを見ながら、ハナは別れを告げた。
「さようなら、メアリー。」
メアリーともう会う事は無いだろう。
私は誰かの為に格闘技をやっているんじゃ無い。
そう、自分自身の為にやっている。
なのに、何で…。
何でこんなに辛いのだろうか。
ハナは飛行機の中で一人、涙を流した。




