第12話[ハナの過去]
ハナはそれ以降、道場にも通わず、一人で技を磨いていった。
格闘技は誰かの為にやるのでは無い。
誰かの為にやれば、いずれ誰かの為に辞めなければならない。
そうだ。
自分の為にやるものだ。
そう自分に言い聞かせ、己の肉体を鍛えていく。
恭子の夢を否定し、差異狂流を憎み、ハナは強くなっていった。
やがて、ハナが二十歳になる頃に、デストロイ杯が開催される事を知る。
世界各国から凄腕の選手が集まるこの大会。
優勝すれば世界最強に認定される。
道場に顔は出さなかったが、名前を借りて、幾つかの大会で優勝している。
これで、参加条件はクリアした。
あとは、格闘技協会の判子のみ。
ハナは師範にデストロイ杯に出場する事を話した。
「てな訳で協会の判子が欲しい。この道場からの参加って事で協会について来てくれないか。」
師範はこの申し出を拒否する。
デストロイ杯は死者も出ている危険な大会。
過去に女性格闘家が優勝した事もあるが、だからといってハナが無事で済む保証は無い。
娘の様に可愛がってきた子をそんな危険な大会に参加させる事が、師範にはどうしてもできなかった。
その事をハナに話し、諦めさせようとするが、ハナは出場する事を諦めなかった。
「わかった。なら、少し面倒臭いが協会側に分からせて、協会側の推薦って事で出るよ。」
ハナはそう言うと道場から出て行こうとする。
師範はハナの名前を叫び、呼び止めた。
「どうしても出ると言うのなら、ワシから一発も喰らわずに勝って見せろ。ワシに一発でも喰らう程度ならデストロイ杯に出ても無駄だ。諦めろ。」
ハナはその提案に乗る。
師範は構え、ハナは構えようとしない。
心配そうにメアリーが見守る中、試合が始まり、ハナの回し蹴りで師範は一発KOした。
「約束だかんな。協会について来てくれよ。って聞こえてないか、メアリー、師範が生き返ったらそう言っといてくれ。」
ハナはそう言うと、道場を出て、家に帰り昼寝をした。




