第10話[ドキドキ文化祭]
翌日からみんなが文化祭の準備で盛り上がる。
蛇乃達は学食のシェフの召家にアイスの作り方を教わるのだが…。
「市販の奴の方が美味しい。」
達子が中々納得してくれない。
みんながアイスの試食でぐったりしている。
中には頭を抑える者までいた。
そんな中、達子はスプーンを片手に立ち上がる。
「みんな、次頑張ろう。」
達子の声援にみんなが応えるが、その顔に笑顔は無かった。
翌日、食堂への道のりが辛く、張り切る達子を除いて誰一人口を開かなかった。
そして更にその翌日、遂に発狂する者が現れた。
保健室に運ばれる麗、それを心配そうに見つめる達子。
「麗ちゃん、どうしちゃったんだろう。」
心配そうに呟く達子。
そんな達子にアイスのせいだろと誰も突っ込む者はいなかった。
そして更に数日が経過し、遂に達子と蛇乃の二人きりとなった。
「美味しいアイスを作ってみんなを元気にしないと。」
張り切る達子の隣で蛇乃は笑顔で立っていた。
愛する達子と二人きり、蛇乃の顔は昨日と比べ生き生きとしていた。
「味見してくれる?」
蛇乃は達子から差し出されるアイスを笑顔で黙々と食べ続けて行く。
やはり達子について行けるのは幼なじみの私だけ。
達子のパートナーは私しか居ない。
優越感に浸りながら幸せを噛みしめる。
文化祭まで後三日。
それまでこの幸せは続くだろう。
だけど足りない。
もっともっとこの幸せを満喫していたい。
世界が滅ぶとまでは言わない。
ただ、このままずっと二人きりでいられたら。
などと乙女チックな事を考えている蛇乃に次のアイスが差し出された。
そして文化祭前日、格闘技部のメンバーを道場へ集め、達子はアイスを振る舞った。
その量、合計十二リットル。
二リットルのケースが六つ。
どれも味が違うというが、その量を見せられた格闘技部のメンバーの顔が次々と青くなっていく。
達子と蛇乃がみんなにアイスを配っていく。
みんなは恐る恐るアイスを口に運び、そして叫んだ、美味しいと。
みんなが夢中でアイスを頬張る。
それを見て達子は喜んでいた。
まさか文化祭までにアイスを完成させてしまうとは…。
それも短期間でプロを超える何て…。
蛇乃は心の中で落胆していた。
十二リットルあったアイスがどんどん減って行く。
中でもキャラメルやピスタチオといった味が人気で、あっという間に無くなってしまった。
「蛇乃のおかげだよ。」
そう言うと達子は蛇乃に抱きついた。
この笑顔の為なら何だってできる。
蛇乃はそんな事を考えながら達子をギュッと抱きしめた。




