第1話[もうこんな学校イヤ]
季節は春。
桜舞い散るこの季節。
鬼頭達子は学校の校門から少し離れた場所で立ちすくんでいた。
「どうしよう、校門の前にすごいヤンキーがいる。」
白ランを着たリーゼントがすごいヤンキーを見つめながら達子は絶望していた。
校門の前に腕を組み仁王立ちしているヤンキー、遠くてよくわからないが通学している生徒達がそのヤンキーに挨拶をしているように見える。
「あれって番長っていう奴なのかなぁ、だから皆ああやって挨拶しているのかなぁ。」
不良が好きではない達子はこれからの学園生活に不安を抱いた。
「進路ちゃんと決めれば良かった。」
後悔しながら、達子は去年の春頃を思い出していた。
「たーちこ、もう進学先は決めた?」
友人の片代蛇乃が達子に抱きつきながらそう尋ねる。
「んー、優秀校を希望してるよ。先生も私の学力だとここがいいって言ってたし。」
達子がそう答えると蛇乃はデタラメ学園に一緒に進学しないかと達子を誘う。
聞いた事がない学校名だったが、できる事なら蛇乃と一緒の高校に通いたい。
だけど、達子と蛇乃とでは学力差が違い、受験しても自分だけ落ちるんじゃないかと不安になる。
他にも学費やあまりに遠かったら寮生活をしなくてはならない。
できる事ならお金がかかるのは避けたい。
「蛇乃と一緒の高校に通いたいけど、学力の問題もあるし、お兄ちゃん大学生だから、お金がかかる所だと厳しいかも。」
大丈夫だと答える蛇乃。
バスで通えるし、学費だって高くない事を話しながら、蛇乃はデタラメ学園のパンフレットを見せた。
「成績も不安にならなくて大丈夫だよ。達子ならきっと合格できるから。それでも不安なら担任の先生に相談すればいいし。」
蛇乃にそう言われ、達子はデタラメ学園を受験することに決める事にした。