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ロスト学園  作者: 神木界人
8章 特別待遇林間学校
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91 滝行

 それでも神崎陽子は後悔をしていた。結局なんだかんだ言ったって娘の「私を信じて」という一言に勝てず二人の特別待遇林間学校を二か月早めることを、イベルタスと戦わせることを許可してしまったのだから。



 そして現在。


 陽子はあの脅迫文を見ながら二人の事を思っていた。そして期待していた。そんな自分が嫌になる。



「ちょっとは私の曲がった精神叩き直さなきゃきゃダメかもねこれ」



 



「今日の午前中は滝行をしてもらいます」


 訳の分からない地獄は陽子さんの一言から始まった。


「いや~やっぱ修行と言ったら滝行でしょ」という屁理屈としか思えない理論を振り回し、午前中は俺と葵となぜか陽子さんも一緒に滝に打たれる。



 そして午後。俺と葵は陽子さんに呼ばれて食堂の席についていた。

 これもまた初めての経験だ。今までの五日間なら「とっとと屋敷中をキレイにしろ!」って速攻食堂から追い出していたのに、今日は深刻そうな顔をして「ちょっとこの部屋で待っててね」と言われたもんだから拍子抜け。

 滝行をやらせた件でも謝ってくれるのだろうか?


 そんなどうでもいいことを考えているうちに食器を片付け終わったのか陽子さんが食堂に帰ってきた。口を「へ」の字にし、ムスっとした表情はさっきよりも固く、足取りが重い所からもいつもの陽子さんとは違い過ぎていた。

 さすがにそこまで変わり映えされると俺も葵も構えてしまう。



「ごめんねトレーニングの時間に呼び止めて。聞いてほしい話が合って」


 「ハイ」と俺と葵が同時に答えた。それしか言わせないオーラがヒシヒシと体に伝わってくる。

 気が付けば二人ともが正座をしていた。


「あなた達、明日がこの特別待遇林間学校の最終日だったよね。その最終日にふさわしい実力試しって言ったらあれかも知れないけど、最後にやってもらいたいことがあってね」


 言いながら陽子さんは一枚の手紙を差し出す。宛先や送り主などは書かれていない、いたずらのような手紙。そこには……


『10月18日日曜日、朝八時より神崎陽子 お前を殺す』


 たった一行。それだけがあった。


「な、何ですかコレ?」


「見ての通り脅迫文よ。送り主はイベルタスって言う宗教団体で、人を襲い、けなし、いじめることで快楽を得ようとする集団。多くは人間社会に溶け込んでそういった活動をしているけどその幹部層まで行けば平気で剣や銃・魔法を操るやつらも。そんな頭のおかしい集団が私を殺しに来るらしいのね。

 そこで恥ずかしながら私を守ってほしいのよ。もちろん隠密隊や私自身も戦うんだけど圭君と葵ちゃんの力も貸してほしくて」


 初めて陽子さんが頭を下げて物を頼んでいるところを見た。声のトーン、語る表情どこをどう判断しても彼女は本気でお願いしている。


「どうする葵?」


 俺が葵の方を向けば葵もこちらを見つめていた。


「そんなの……」


 ここまで(役立っているのかさえ定かではないが)様々なトレーニングをしてくれた人の頼みだ。おそらく俺たちの答えは一致しているのだろう。




「「協力するに決まってるじゃないですか」」



タイトルが全然タイトルになってない。今回滝行に関しては三行で終わってしまいましたからね(笑)


だが、ホイホイと何でも協力しちゃう二人。お人好しすぎる。

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