81 トレーニングの始まり
特訓は到着した日の午後からいきなり始まった。
「と言う事で行ってらっしゃい」
そう言って陽子さんから手渡されたのはこの森の地図。
「えっと……」
「もちろん分かるでしょ。これ持ってランニング・ランニング。一時間以内には帰って来てね」
メッセージもそれしかないようで、後は手を振りながら俺たちをただ送り出すだけだった。
まぁでもトレーニングをしに来たことには間違いないし、そこで文句を言ってもしょうがない。
俺も葵も、懸命に景色の変わらない山をただただ走り続けた。
それからしばらくしてやっと陽子さんのもとにたどり着く。記録1時間25分だった。
「ハイ、罰ゲームね。腕立て100かーい。葵ちゃんは間に合ってたから休憩でいいよ」
その様子はもはや体育会系の部活同様だった。いつの間にかジャージを身にまとった陽子さんが竹刀を振り回し、時折俺の尻を叩く。
体罰だ。今やここまでする学校は無いだろってぐらいの仕打ちだった。
「なにぬるい事言ってんのよ。あんたらあの学校の生徒なんでしょ! そんな事じゃ生きていけないわよ」
だが、そう言われるとぐうの音も出ず、ただ一生懸命に腕立てをするしかない。
「97・98・99・はい、100」
その瞬間俺は地面と一体になった。もう寝ころんだとかその次元を超えて。
「し、死ぬ……」
だが、それと同時に陽子さんがトレーニングとなれば容赦ないことはもう理解できた。
間髪入れずに俺の目の前に金属バットが突きつけられる。
「はい、こっからは葵ちゃんも復活ね。素振り100回!」
「や、休む時間を……」
俺の決死の願いだった。だが、それを陽子さんはたった一言で一蹴する。
「え? 今休み時間あげたでしょ。ねぇ葵ちゃん。たくさん休んだもんね」
もはや脅しともいえるような語尾の勢いに葵も気圧され無理やり頷いた。
「あ、葵は休んでても俺は……」
「え? だって圭君は休み時間に自主的に腕立て伏せを100回してたんでしょ。だってそもそも腕立てなんて練習メニューには入ってないんだから。罰ゲームという名の時間は無いんだよ」
「…………」
もうもはや返せる言葉が無かった。口喧嘩というか言い合いでここまで押されるのも人生初である。
「ほら、立った立った。バット振るわよ」
これはまだ一日目。このトレーニングの始まりに過ぎない……。
腕立て百回からの素振り百回は書いていて思うが普通無理(笑)
甲子園に毎回出る強豪校とかならそれでもやっているんでしょうかね?
トレーニングはまだまだ始まりに過ぎないですよ。




