78 違和感
それでも俺たちは何とか無事に着陸することが出来た。森のど真ん中。まぁ分かっていはいたことだけれども……。
唯一の救いは目指すべき方向に大きな建物があったこと、そしてそれがこの位置からも観測できたこと。
「とりあえずあっちに向かって歩くか」
そうするしか俺たちに手段は無かった。
ちなみに荷物は校長がヘリでそのまま届けてくれるらしく、俺たちが今持っているのは剣だけだった。
身軽で行動できるようにしてくれて優しいと思うだろうか? 否、断じて否である。
剣以外の荷物がすべてないのだ。つまり食料も水もタオルもそういった普通山道を歩くうえで必要なものすべてが無かった。
きっとヘリの中では校長がほくそ笑んでいるのだろう。目の前にしていなくとも容易に想像が出来た。
だが、不幸中の幸いとも言おうか、今日は日差しが多少雲に隠れており、暑すぎず寒すぎずの最適な気温だった。
それゆえに足取りも想像以上に軽く、なんだかんだ葵と楽しく話しながら遠足気分で歩みを進めることが出来ていた。
けど…………。
「圭君! 今‼」
その途中で葵が急に立ち止まり、剣を構えた。
「うん。葵も分かった?」
もちろんその葵の感じた違和感には俺も気付いていた。今まで風がほとんど吹いていなかったのに、不意に、一瞬だけだが空気の流れが変わった。草木の揺れが起こり、葵のような長い髪ならなびくくらいの微風。それでも葵が自分と同じように違和感を感じ取ってくれたことがパートナーとして嬉しかった。
ホント守に取られなくて良かった。
さて、小話はそれくらいにして、この違和感に対して対処方法を考えなくてはならない。実際俺たちが手にしている情報は違和感があったということくらいしか無く、敵がどこにいるのかも分からない。いや、そもそも敵なのか味方なのかさえも。
だが、ありがたいことに相手の方からアプローチを仕掛けてくれたおかげで敵の位置はつかめた。目指していた建物とは反対側の木の上部、一瞬キラリとのぞかせた鏃がヒントになった。
「火炎剣」
飛んでくる矢に向かってフレイムソードを引き抜き、矢を焼き尽くすと同時にこのあたりの森を軽く燃やしてみた。
環境的にはよろしくないが他にも敵のいる可能性がある以上こうするしかない。
そして予想通り、キレイに八方向からワサッと敵のご登場である。
いつから敵の気配を感じられるほど強くなったのだろう? みたいなことは言わないでください汗。彼らも日々鍛錬しているのです。
さて、皆さんは気付いた瞬間周りを敵に囲まれていたらどうします??




