76 なんちゃら林間学校
守との戦いから一日。俺と葵は新井先生に言われて校長室に来ていた。
「校長室って私たち何かしたかな?」
「さぁ?」
俺も葵も心当たりがなく怖かった。教室では小雪にあらぬ疑いを掛けられ、朱里に心配され、咲に愛され、亜紀に冷たい視線を向けられたがやっぱり心当たりはない。
それでも校長室に呼び出されるという事がただ事ではないことは分かっていた。
だが、ここまで来て入らなないわけにはいかない。いや、むしろ逃げ出したという方が大事件だろう。
俺は学校で一番豪勢なのではないかと思われる扉を開いた。その扉は重く、ゆっくり自分たちの視界を広げていく。
初めて見る校長室だ。左上には誰とも分からない肖像画がたくさん。そしてその下には一体何部が取ったのか大量のトロフィーが。というかこの学校に部活動という概念がある事に今更ながらびっくりだ。
右側に視線を移せば、来客用の食器が大量に収納されていた。
そして正面には仰々しい机に社長イスのような回転いすと、その手前にはソファー&テーブルというフル装備だ。
その回転いすに校長はいた。
「君たちが風川圭君と川上葵さんだね」
今となっては性役割分業なども無くなってきてはいるがこの校長は三十代くらいの若き女性でありながら学園創立時から校長らしい。つまりこの頭のおかしい学校制度を作り上げた張本人であるという事になるのだが。
そんな人間から何を言われるのかと俺たちは息を呑んだ。
「君たちのここ最近の成績には正直驚かされるばかりだよ。さすがは新井先生が育てたクラスの子ってだけはあるよね」
その話の意図が見えずに「はい」と相槌だけを入れる。
「そこで、君たちに提案なんだけど……」
そこで校長は自分の机に一枚のパンフレットを差し出した。山奥にそびえたつ豪華ホテルのような写真だ。
「この学校では成績上位者に特別待遇林間学校っていうのに行く権利を与えているんだよ」
その訳の分からない『特別待遇林間学校』という言葉をおうむ返しに聞き返した。
「あぁ。神奈川の山奥なんだけど、ここで修業を積んで更なる強さを引き出してもらうというプログラムだ。知っての通りこの学園は武力がすべての実力主義学校。その武力に見合った力があると思っての校長推薦だがどうするかね。あまり返事を待っている時間も無いし、もし断るのなら次の人に声を掛けなくてはならないから今この場で決めてほしいんだけど」
そう言われて俺は葵の方を振り向いた。俺としては強くなれるなら参加しない手はないと思う。だがパンフレットを見れば、一週間という長い期間俺たちが二人きりになり修行をすることに。
そうなれば七日間を昼も夜も二人きりで過ごすという事だ。それを葵がどう思うか分からず彼女の意思を仰ぎたかった。
振り向きざまに目があった彼女は、悪い表情をしていない。
「圭君はどう思う? 私としては覚えたての魔法を鍛えたいってのもあるから行きたい……けど」
彼女は彼女で俺の出方を窺うような聞き方をしてきた。だが、葵がそういうなら答えは一つしかない。
「なら、そのなんちゃら林間学校。俺たちで行かせてください‼」
大して書くことも無いので校長先生の外見的特徴をもう少々。
身長は女性の中では長身の160~170㎝くらい。長くまっすぐに下ろされたの黒髪が特徴的。だが、顔の方は紙に隠れていることはなく、表情は普通に分かる。顔もまた整っており、モデルを思わせるような様子があるものの、つり目なところや薄めの唇など少しミステリアスな感じを漂わせているところもある。ソシャゲなどで出てきたら確実に闇属性に振り分けられるような女性。
自分の画力センスが無さ過ぎて挿絵に出来ないのが心苦しい……。




