71 葵の覚悟
今回からいつも通りの圭君視点です
「それからの守君は病院に運ばれて以降、一回も学校に顔を出すことは無かった」
「けれど、ここにきていきなり俺たちの目の前に現れたというわけか」
葵は軽く頷いた。葵もどうして彼がこの学園にいて、いきなり俺たちの前に姿を現したのかは分からないようだ。
「じゃああいつがお前とペアを好んでいるのもその、何だっけ? バリアフリーズの再結成を望んでるとか?」
「バリアーズね。さすがに今のは悪意あるでしょ」
指摘する葵に俺は正直に答えた。「無いよ」と。「そんなダサい名前覚えてらんない」と。
彼女は顔をプクーと膨らませながら「ひど~い」と返してきた。
だが、お遊びはその程度に俺は本気のトーンで彼女に問いかける。
「本当にあいつに勝てるのか?」
「正直分からない。朝戦ってみてもそうだったけど、彼の想いも相当なものだった。きっとあの日以来強くなるという事だけにこだわって生きてきたんだと思う」
俺は彼女の言葉を静かに聞いた。
「でも、それは私も同じだった。私だってあの時もっと力があれば守君を失わずに済んだかもしれないし、彼と一緒に戦う事だって出来たかもしれない。もう私は何からも逃げないために、強くなるためにこの学校を選んだのよ。彼と決別をするのに圭君の力を借りたくはない。私は彼に私の想いをぶつけるだけ」
「それが朝俺の介入を阻止した理由か」
彼女の心こもった言葉にすべて納得がいった。普通ならフラフラのあの状況で助けを求めないわけがない。なのに葵は
「待って! 圭君。ごめんこれは私の戦いだから。圭君には関係ないし巻き込みたくもない」
と止めた。
『私の戦い』その意味がようやっと俺にも理解できたのだ。
「分かった。じゃあ葵を信じる。俺は葵とこれからもずっと一緒に戦って、そして卒業したいって思ってるからな。思い切って彼と決別してこい」
彼女は何も言わず固まる。そして何か間違ったことを言ったのではないかと不安になった。
だが、それから数秒を経て、葵は「うん」と最高の微笑みを俺にくれた。
「私頑張るから。圭君に見ててほしい」
俺もまた彼女に自分の持てる最高の笑顔を返す。絶対に俺は葵と一緒に居たいから。
次回からvs守の二回戦‼




