65 強さと弱さ
だが、守は必死に立ち上がる葵には目もくれずまっすぐ俺の方に向かって歩いてきた。
そして目の前で立ち止まる。
「ふ~ん君が噂の圭君か」
彼は俺に目を合わせ、試すような口ぶりで聞いてきた。
「で、君が葵ちゃんの事をたぶらかせたせいで葵ちゃんはこんな弱小のまま成長の一つもしなかったって事でいいのかな」
その見下したような言い方に腹の虫を抑えるのが精いっぱいだった。自分のことをとやかく言われる耐性についてはある程度持っているつもりだったが、葵のことまで一緒にバカにするのは許せない。
「お前、何が言いたいんだよ」
つい、葵の「自分で何とかする」という想いを裏切り、喧嘩を買ってしまった。
「まぁ端的に言ってしまえば、お前なんかとイチャイチャしているよりも、俺の方が葵ちゃんのことを強く、そして幸せにして見せるって事だ」
「別にイチャイチャしてるわけじゃ……。俺たちだって必死に頑張って卒業するために……」
「へ~これが卒業のために必要なことなんだ」
守の手には一枚の写真があった。遺跡で駄女神が撮影した俺と葵のキス写真。あれが翌日学校中にばらまかれたのだがこいつも持っていたか。
「これ見たときはビックリしたな~。あの葵ちゃんが僕以外の男の子とキスしちゃってるなんて。いや~本当に驚いた。そこまで君が葵ちゃんに認められるような人間だったなんて。そして、さぞ葵ちゃんはこの男に鍛えられたのかと楽しみにしてたんだけど」
そこで守瀕死寸前の葵の方に蔑むような目線を送った。
「まさかこんなクズに成り下がってるとはな。まぁさしずめ君が葵ちゃんをこんな何の力もないビッチクズ女になり下げてしまったってところなんだろうけど」
さすがに俺も聞き流せるレベルを超えていた。気が付くと自然と俺は剣を構えている。
「おい、今の言葉訂正しろよ。葵にだって失礼だろうがよ」
「失礼? は? 何言ってんの? お前のせいで葵がこんなことになったんだろ。お前が葵ちゃんの事をたぶらかせたせいで。謝んのは俺じゃなくて、お・ま・え!」
「マジでいい加減にしろよ。死んで地獄に落ちろ」
俺は感情に身を任せて目の前の敵に剣を振るった。もう、頭の中に葵の言葉も想いも残ってはいなかった。
が、彼はその剣を素手で止める。
「な!」
「そりゃこんな貧弱な剣しか振るえないような男のもとにいたら葵ちゃんだって弱くなるわな。お前、もう諦めろ。葵ちゃんを開放してやれ」
『いや、葵ちゃんを俺によこせ』
なんかいいタイトルが思いつきませんでした。試しに『ビッチクソ女』ってタイトルにしようと考えましたが雰囲気にそぐわなすぎる(笑) タイトル詐欺の勢いを超えていたので止めました。
なんか、タイトルって毎日毎日考えるのは大変ですね。
さて葵ちゃんは一体誰のものになるんでしょうか(そもそも私は葵ちゃんを者扱いする守君にどうかと思いますが……)




