61 魔法石
はぁぁぁぁぁぁぁ!!?
おい駄女神! どういう事だよ。じゃあ俺たち一体何のためにキスしたってんだよ‼
「私の趣味? ってとこかな」
女神様は俺の威勢をあっけらかんとした表情であっさりと受け流した。
「でも私ちゃんと『扉開けないわよ』って言ったわよね(※59話)」
「そんな細かいとこ知らねぇーよ」
「まぁまぁとにかく開けてあげるんだから今日の主人公は起こしてあげな。彼女が起きないとあの部屋入っても意味ないんでしょ」
誰のせいでこうなってんだよ。
「聞こえてますよ~。まぁ私も暇じゃないから早くしてね。ほら、眠ってしまったお姫様を起こしてあげるためにはどうするんだっけ?」
「どうするって…………あなたはまだキスをさせたいって言うんですか」
女神は一応おしとやかに「フフフ」と笑いを浮かべた。
「あと、『一応』は余計ね」
*
で、結局葵は揺する事で起こし、いよいよ金ぴかの扉は開かれた。
ゴゴゴゴという軋むような音を立てて開く扉の向こうにはまさに別世界が広がっていた。
洞窟の中というのは変わらないのだが、部屋の四方八方から様々な光が輝き合い、その中心では銀色の太陽光が降り注ぐかのように光の柱が完成していた。
現実世界で言えば鍾乳洞。ファンタジー世界で言えばドワーフの守る神秘の奥地のような、そんな神聖さがそこにはあった。
「あったり前でしょ。この私が所有している魔法石の収容所なんだから。この中には火の魔法、水の魔法から風の魔法、地、雷、雪、闇、光などなど、どんな属性の魔法でも打てるようになる」
なんだ、そのチートな遺跡は。じゃあここにある魔法石を全部持ちかえれば、すべての魔法を操れる大賢者的な奴になれるのではないか。
まさになろう系小説でありがちな異世界無双し放題ではないか。
「と、思うだろ。だが、魔法石はその辺のファンタジーと違い契約式なのだよ」
「「契約式?」」
俺もそうだが、当事者である葵も疑問の声を漏らした。
「そう、契約式だから葵ちゃんはここに転がる無数の魔法石の中から一つの魔法石を選ぶ。そうするとその魔法石のもつ属性の魔法を使うことが出来るようになるってこと。さて、葵ちゃんはどの魔法石がいいかな?」
そう女神に促されると葵は数歩前に出て魔法石たちの前に立った。
「これは何ですか?」
彼女が手に取ったのは水滴のような形が濃い赤で塗られたような魔法石。
「それはルベライト。炎系の魔法石ね」
「炎系か、それだと圭君とかぶっちゃうよね」
葵が一瞬寂しそうな顔をしながらそのルベライトをもとの位置に戻す。そこには俺が「別に俺のことを気にしないで葵が欲しいものを選べばいいよ」という余裕すらなかった。
そのほか、葵は色々な魔法石を手にとっては女神さまに「これは?」と尋ねる。
水魔法のアクアマリン。風魔法のエメラルド。闇魔法のアメジスト。
そんな中、葵が選んだのは――――
ちょっと引きの終わり方というのをやってみました。前にも何回かやっていたことはあるのですが、今回のは結構大胆めです。
さて、葵ちゃんは何の魔法石を選んだのでしょうか(笑)




