60 カシャ・カシャ
甘い甘い時間がしばらく続いていた。周りの空気が俺たちを祝福するようにカシャ・カシャと盛り立て、まばゆい光に二人は包まれる。
それはまるで戦場で敵国ながら恋をしてしまった男女のように。俺たちの周りは光と轟音で満ち溢れる中、お互いに求めあっていた。
「…………」
ん? 何か違うよな。 冷静に考えろ風川圭。 俺たちは誰もいない遺跡の中にいた。ということは俺たちに対して祝福する声を上げるのは? 暗闇の洞窟に明かりをもたらす光って……。
「――――よ。いいよ。そのままそのまま。いやーたまんないね! その初々しさがいい。素晴らしい」
それは誰でもない駄女神の声だった。さっきまでよりも鮮明にはっきりと聞こえる。
「あ~もうちょっと。もうちょっと圭君右なんだよな~。後、数センチ右! そしたら葵ちゃんの赤らんだ頬が見えてさらにいいのにな~」
そういいながら駄女神はカシャ・カシャとなる機械の音を立てる。
ちょっと冷静に考えると、周りが見えてきた。
確かに俺は今葵と洞窟の中の朝礼台に上ってキスをしている。そしてその朝礼台の周りを駄女神はカメラを抱えて駆けまわっている…………。
「って! おい、何してんだよ駄女神!」
「あ~~~~! ちょっと圭君なに口を外してんだよ。私がいいって言うまでキスしてろって言ったじゃない」
「そういう駄女神はじゃあ何してたんだよ」
「何ってそりゃ写真を撮ってたんじゃない。あんたたちが本当にちゃんとキスをしてましたよっていう証明の。ほら、これなんてよく取れてるでしょ」
そういって女神様が見せてくれたのは横から取った、はっきりと俺と葵が口づけをしているのが分かる写真だった。
「お、お前」
やめろ! めっちゃ恥ずかしい。さっきまでの幸せすべて吹っ飛ばすほど恥ずかしい。
そして、それは葵も同じようで、さっきまでとは比にならないレベルで顔を真っ赤にしてそのまま「はぁ~」って声を漏らしながら朝礼台の上で倒れこんだ。
「あ、葵⁉」
「あ~あこれじゃ続行不可能だね~。これはあれかな。試練失敗で魔法石のある部屋には入れないかな」
おい駄女神。何ふざけたこと言ってんだ。不本意ながらキスした証拠ならお前が握りしめてるだろ。
「ふふ、冗談よ冗談。でも、駄女神とかお前とか暴言が多いよ圭君。そんなんじゃ開け――――」
俺は瞬時に飛び降りて女神の胸ぐらをつかんだ。
「盗撮という犯罪を犯す女神を誰が拝めって? そういやそもそも神聖な女神は人の子の前に姿を現さないんじゃなかった無かったのかよ?」
だが彼女は瞬時に俺を払い反撃に入る
「あ~あれはかっこつけて言ってみただけよ。そもそもあの扉、鍵穴タイプだから私が降りてこないと開けられないし」
女神は胸元から取り出した鍵をグルグルいじりながらそう言った。
というわけでちょっとした報復回でした。スキャンダルを写真に取られるって嫌ですよね(笑)
ということでやってやりました。
次回くらいで金ぴかの扉をを開くかと思います。




