54 甲冑の部屋
しばらく考えた末、俺たちは前の扉を目指すことにした。何よりもあの扉の先に何があるのか気になったからだ。宝箱でも置いてあればラッキー。何もないなら何もないで引き返してまた坂を下っていけばいいだけの話だ。
俺と葵は腰をかがめて一歩一歩ゆっくり進んで行った。甲冑たちに眺められながら。
普通に歩けば20秒とかからない距離ではあったものの、これだけの甲冑を並べておいて何のトラップも無いとは考えにくい。
一番可能性が高いのは防犯装置などでよく使われる赤外線センサーだ。それを考慮した結果俺たちは低い体勢を保ちながら進むことにした。
けれどこれも完全な策ではない。俺たちは映画などでよく見る赤外線スコープといったような赤外線を見るための道具は持っていない。それゆえに足元にセンサーがあれば一発アウトだ。
そのことも考慮していつ仕掛けが発動してもいいように俺たちは鞘に手を掛けながら歩いた。
甲冑の前を3領分くらい超えただろうか。いまだに反応は無かった。
「これ、もしかしたら全部ハッタリでそのまま扉まで行けちゃうんじゃないの」
そんなはずはないと思っていた。だが、ここまで来ると葵の言う通りハッタリという可能性も無くはない。
そんな心の隙を見せたのが間違いだった。だから俺たちは気が付かなかったのだ。
『自分たちの視界から消えていった甲冑たちが音もたてずに動いていたことに』
そのことに気が付いたのは何気なく葵に話しかけようと横を向いた時だった。その時に俺たちの真後ろに位置する場所に2領の甲冑があったからだ。
俺たちが今まさに歩みを進めていた場所に本当なら甲冑があるはずがない。
ということは導き出される結論はただ一つだけ。甲冑が動いているに他ならないのだ。
そして心がまるで読まれているかのように、俺が真相にたどり着いた瞬間、一斉に甲冑たちが動き始めた。
まだ、葵にさえ自分の気が付いたことを伝えていないのに。
当然葵はパニックである。何でいきなりすべての甲冑が音を立てながら大胆に動き始めたのかも分からないのだから。
甲冑たちは自分の持っていた剣を抜刀し、そのまま俺たちに向かってくる。実際に中に人が入っているのと何ら変わりのない動きだ。
俺は、前から来た2領分の攻撃をそれぞれ受け流し、後ろから迫っていた甲冑たちと相打ちさせた。
中身のない甲冑はそのまま互いが互いの剣で体を貫き、ボロボロと壊れていく。
「葵、こうなったらあのドアまで走るぞ」
もう、赤外線がどうのこうの気にしている余裕は無い。扉まで逃げ込めば追ってくることは無いと信じて扉を目指すだけだ。
探索・探索って永遠タイトルが探索だったので変えてみました。
ちなみに前にも書きましたが、算用数字と漢数字に関しては、見やすくすることを優先してごちゃ混ぜに使い分けているのでミスではありません。
次回はこの甲冑たちからの逃走劇。




