52 捜索③
俺が二度目の失神をしてから何分が過ぎただろうか。
「は~やっと起きた。一体いつまで寝てるのよ~」
「誰のせいだよ」
ジト目での訴えは、葵には響いていないようで、彼女は彼女で先々進んで行こうとする。
落下したことの精神的ダメージと物理的ダメージは相当なものだったがそれでも落下してきてよかった点が一つだけあった。
それは上に比べて明るいことだ。
両壁につるされたろうそくが灯っており、視界はしっかりと確保されていた。
壁につるされた古代遺跡のような、意味はさっぱり分からない絵をはっきりと確認できるレベルである。
壁の圧迫感もそこまで無く、俺たち高校生が三人並んで両手を広げられるくらいには広さがあった。
そんなよくできた道を俺たちは歩いていた。道もなだらかな一本道の下り坂になっており、幾分か楽な方である。
このまま最奥みたいな所まで行ってくれたらな~。
「にしても、静かな洞窟よね。もう少しモンスターみたいなのが出てくるのかな~って思ってたけど」
葵の言う通り俺たちの出会った罠と言えばあのホールにあったボタンくらいで、それ以外は俺たちに危害を加えるような物も、敵もいなかった。それゆえにあまりにも洞窟内が静かすぎて怖い。
万が一罠っぽいものがあってもあまりにもあからさまだ。ほら、右前方に不自然に壁から出っ張ってるタイルがあるだろ。明らかに押してくれって言っているようなものではないか。
あんなものを一体だれが押――――。
「ねぇ、コレ、押したら新しい扉がブワーって出てきたりするんじゃない?」
あぁ、葵さんよ。俺はもう少しあなたが賢い人間だと思っていましたよ。なんかこんな奴に『バカ・バカ』言われている俺が情けなく思えてくる。
今度は一体どこに落とされるのか、少し身構えていたもののなかなか足元が空洞にはならない。その代わりに、地響きが起こった。
上からなのか、下からなのか、はたまた背後からなのかは分からない。
それなのにあの夢見がち女は目をキラキラさせながら隠し扉が出現することを本気で期待していやがる。
絶対違うから。この地響きはドアじゃなくて岩石的な岩が転がってくるパターンだから。
俺のやり慣れたゲームの勘がそう告げていた。 そして良くも悪くもこういうところで外さないのが俺である。
方向は後方から。今思えばずっと歩いてきた道が下り坂だったのもこのためかと思う。
「おい! マジでヤバいぞ葵逃げろ!」
こうして今日何回目だろうか。生死を懸けた鬼ごっこが再び始まったのだ。
遺跡にある謎の絵ってちょっと怖くないですか? 一応歴史的には文字の無かった時代のことを絵で伝えてくれているということで大切なものらしいですが……。
いや、でもちょっと怖い。私はそう思います。
あ、まだまだ遺跡調査は続きます。




