51 捜索②
俺が目を開けたとき、視界は真っ暗だった。何一つ見ることが出来ない。
他の五感に関しても、聞こえるものも、においも、まぁ味も無い。ただ、重い。
自分の顔面を覆いかぶさるように何かが乗っている。幸いにして口元は空いているようで呼吸に問題は無く、覆いかぶさっているものが柔らかかったため、ただ重いという感情しかなかった。
それをどかすべく軽く触ってみると、やっぱり柔らかかった。自分の手の数倍はある大きさで握ることは出来ない。
その物質を触った時、軽く声が聞こえた気がしたが、しばらく触り続けていると次第に、その物体の方が勝手に自分の顔面から離れていった。
そもそも何でこんな訳の分からない状況になっているのか。それは数分前に遡る。
「わ~ボタンだ‼ 何だろう。とりあえず押してみるね」
葵は何のためらいもなく、ホールの中央に置いてあったボタンを押した。
それは俺が制止するよりも先に押すんだからホントに葵の行動力には苦労させられる。
今回は何が起こるのかと思えば、自分たちの立っていた足場が一瞬にして消えた。ゲームやアニメにあるような床が抜ける状態だ。
となれば俺らはどうなるか。そんなのは分かり切っていた。
重力に身を任せて自由落下するだけだ。
葵は自分で巻き起こした事態のくせにまるでジェットコースターを楽しんでいるかのような声を出す。
ったくこちとら、このまま落ちたら本当にライフポイントとか関係なく死ぬんじゃねぇかって心配しているのに。
俺だって人生もう少し葵みたいに楽観的に過ごしたい……。
だが、幸いにして俺の死ぬかもしれないという心配は杞憂に終わった。落下の途中から背中とおしりが壁――なのか何なのか分からなかったが取りあえず当たり、そのまま滑り台を滑るような感じで滑ることが出来た。
それゆえに死ぬことは無かったが落下のダメージで軽く気絶。で、目を覚ましたところで最初に戻る。
*
そして顔面に乗っていた物体は上がっていき、俺から離れた。その結果俺の視界も回復する。
……したんだけど。
そこには制服のスカートを抑えながら顔を真っ赤にした葵が立っていた。
「あ、葵?」
「バカ、アホ、ドジのど変態! 圭君のバカ~」
やっとの思いで俺の視界が回復したってのに葵が頬を思いっきり叩くもんだから俺はまた失神する羽目に。
てか、ビンタ一発で人の事失神させられるってどんな怪力ゴリラだよ。
あと、俺が一体何をしたっていうんですか~。説明求む。
とにもかくにも、俺たちが遺跡探索を続けられるのはもうしばらく後のようだ。
全く圭君は一体何を触っていたんでしょうね。




