49 遺跡
逃げること何分経っただろうか。
じわじわと珍獣にも距離を詰められ、もはやライフ1つ無くしてでもこの苦痛から解放されようかという考えがよぎった頃、俺たちに希望の光が見えた。
「あ、圭君あそこ!」
葵の指さす先には本当に小さなだが遺跡があった。
「あ、あれが葵の言ってた魔法石のある遺跡か?」
「それは分からないけど、とにかくあの中に入れば何とかなるかもしれない」
特にそれ以外の策も無かったし、万が一あの遺跡が探していた遺跡だという可能性もある。というかもうその遺跡であってほしいという願望もあった。
さすがにあの中までビル二階分くらいの大きさを持つ珍獣が入ってくるとは考えにくい。ならあそこまで行けば俺たちの勝ちだ。
だが、この大草原にいるのは何も数百メートル後ろを走るあの珍獣だけではない。時折現れる羽虫だったり小動物だったりを避けながら進んでいた。
その虫や小動物が遺跡に近づくにつれてどんどん数を増していくのだ。まるで俺たちが遺跡に近づくのを阻止しているかのように。
後ろにいる珍獣に比べたら大したこと無いのかもしれないが、このリスのような小動物たちが牙を向けながらこちらを噛みつこうと迫ってくる。
もう前にも後ろにも逃げ道は無い。
「当然、前を切って進むしか無いだろ」
「でも……あの子たちを切っちゃうのは少し可哀そう……」
確かに見た目がリスみたいなだけに女子受けはいいのだろう。マスコットにしてストラップとか作ればそれなりに人気が出そうだ。
だが、弱肉強食の世界。そんなことを言っている余裕は無かった。
「まぁどうしても可哀そうというなら切り殺さなきゃいい。道さへ開ければそれでいいんだから」
「そ、そうよね」
俺と葵はそれぞれ普通の剣を抜き、戦闘態勢に入った。
そして次々と自分たちに向かってくるリスのような敵を切る――――というよりは払うという感覚で後ろに受け流した。
切り殺すのが可哀そうと言いながら珍獣のいる方向に受け流すのはどうなのか、とか野暮なことを言うのはやめてくれ。俺たちだって立ち止まれば食われるかもしれないというギリギリを走っているのだから。
だが、そうこうしているうちに気が付いたらリスのような敵の攻撃が終わっていた。
振り返ればそこにはリスのような敵たちが、まるでパントマイムの壁が存在しているかのように、ある地点できれいに並んでいる。
そしてそこまでたどり着いた珍獣もまた勢いを落としてリスたちの作るパントマイムの壁のところで見事に立ち止まった。
「もしかしたら遺跡を壊されないようにあそこに結界みたいなものがあるのかもね」
まぁ解釈は何であれ、あいつらが俺たちに対する攻撃が止んだのならそれでいい。
遺跡はもう目と鼻の先だ。いよいよ本当のダンジョン攻略がスタートする。
こんな感じでふとUSBメモリーが見つかってくれればいいんですけど……。
次回からは本当にダンジョンに入っていきます。実は魔法石の遺跡ではなくまた草原を歩き回るみたいなことにはならないのでご安心を(笑)




