44 迫る死
俺たちA組と屍食鬼の戦いは一進一退を見せていた。
だが、屍食鬼はいくら倒してもキリがなかった。一体どれだけいるかも分からない相手をただ闇雲に切り倒すことがどれだけ辛い事か。
そしてこの戦いが長期戦になればなるほどこちらの戦力もどんどん減っていく。それだけでなく、仲間が死んでいくこと、倒しても倒しても終わりが見えないことがこちらの士気をどんどんと下げていっていた。
今や、小雪や朱里もいない。そして葵や咲、俺の体力だってもう限界寸前。本当にそろそろ勝負を決めないとこちらが全滅してしまう。
「ならあれを使うしかないかな」
まだ、完璧に扱いきれるわけではない剣――――フレイムソードだ。
俺は覚悟を決めてそれを引き抜き、目の前の屍食鬼たちに向けて煉獄の炎を浴びせにかかる。
「いけーフレアダイト」
魔法とはまた少し違うのだが、詠唱を唱え、剣を振るう事で様々な炎を使った技を使えることを俺は見つけた。
フレアダイトもその一つ。広範囲に炎の幕を作り出して、まるで大災害のような火災を生み出せる技だ。
さすがにこれには屍食鬼たちもなすすべがなかった。一匹一匹まるで助けを求めるかのように手を伸ばしたり、声にならない声を上げていたが、その動きや声もどんどん小さくなっていった。
これで俺たちの勝ちだ。A組の残りも少なくなっていたが、俺たちは屍食鬼たちに勝利し、学校のピンチを見事救った。
そう確信していた。――――が、その瞬間、俺の真横にいた葵が吹っ飛んだ。
物でもない人間が吹っ飛ぶなんてあり得ないし意味わかんねぇーよっていうかもしれないけど、本当にそう表現せざるを得なかった。
俺の真横から一瞬で葵が後ろ方向に消えていったのだ。
葵が飛んで行った方を向くと彼女の腹部には一本のナイフが突き刺さり、彼女は腹部を抑えていたが、その力も次第になくなり、彼女はその場で意識を失った。
その被害は葵だけにとどまらない。俺の放った炎が敵を隠すのには格好の場となり、爆炎の中から次々にナイフが飛び出してくる。そしてそのナイフが生き残っていたA組のみんなにとどめを刺していく。
「お嬢様! 危ない」
それは後方で援護射撃をしていた咲も例外ではなかった。彼女の危機をいち早く察知し駆けつけた亜紀が己の刀で飛んでくるナイフを抑える。
が、ナイフの威力は強く、必死に抵抗していた亜紀だったがズリズリと後ろに追いやられ、次第に立っていることも出来なくなり、後ろへ飛ばされる。
「亜紀‼」
彼女を飛ばしたナイフはまるで意思を持っているかのように再び彼女の方へ向かっていく。そして吹っ飛んでいる最中の無抵抗な亜紀を地面にたたきつけるがごとくナイフが振り下ろされた。
「ふん。何、他人事のようにこの状況を見ているのかな風川君。君も死ぬんだよ」
そして気配を感じさせずに近づいてきた『何か』は俺の耳元で不愉快な低い声を使いささやいた。
フレイムソード圭君がそれなりに使いこなせるようになっただろうからこれからはバンバン登場するかと。




