37 朝のデュオバトル
この局面。勝つためには―――― 『先手必勝!!』
まず何より先に葵が駆け出す。相手のライフル銃が装填されるよりも前に。
これは楽に勝てるかもしれない。一瞬でもそう思った俺が間違いだった。
もちろんこれが葵とライフル少女の一対一なら葵が勝っていただろう。だが今回はそうでは無い。
「キン」と金属音を上げ火花を散らす。目元まで下ろしていた銀髪の隙間から鬼気をはらんだ瞳がのぞかせる。そういや彼女の瞳をはっきりと見るのはこれが初めてだ。
そして、銀髪少女が時間を作ったことで金髪ライフル少女が銃弾を装填するには十分な時間が生まれた。彼女はニヤリと軽く笑みを浮かべそのまま銃声を轟かせる。
「危ない! よけろ葵」
もちろんそんな声で反応して避けられるスピードでないことは分かっていた。が、葵だってそれは分かっていたのだろう。もしくは単純に弾が外れただけか、とにかく金髪ライフル少女の放った弾丸は一瞬で窓ガラスに傷をつけた。
「惜しかったですわ。でも次は外しませんわよ」
彼女の言う通り、この距離での戦いならそう何発も外すことは無いだろう。――――早くなんとかしなくては。
葵は銃弾を避けただけで終わりではない。そこから続く銀髪少女の剣による連撃を何とか食い止めている。
てか、これ俺何もしてないから二対一やん。
もちろんそれを気づいて動かない俺ではない。葵が銀髪少女と何度も剣を交えているというなら俺は二発目を構える金髪ライフル少女を狙うのみ。こっちに意識が向いていないだろうから今なら剣を当てるチャンスだ。
そう思い込み俺はまっすぐ剣を振り下ろした。けれど彼女は気配だけで俺を感じ取ったのかこちらを一瞥もすることなく剣を躱す。
「な!?」
「ふん。それぐらいでは当たりませんわよ」
そしてそのまま彼女は俺に銃口を向ける。距離にして机一つ分もない。
「次はこっちの番ですわ」
おそらくここからじゃ右にも左にも避けられない。体勢からして上も無理。しゃがむことはできるが読まれていればおそらく即死レベル。となればイチかバチかでもこうするしかない!
*
「何⁉」
「ふん、俺だってそう簡単には当たらないよ」
ライフル少女は純粋に驚いているのだろう。素っ頓狂に「何⁉」と漏らした。だが、俺もびっくりだ。本当に剣で弾丸をはじくなんて芸当ができるなんて。
たまたまこの間小説でやっていた回避方法をやってみたがうまくいくとは。
「やりますわね」
「そちらこそ。いい弾打ち込んできやがって。ただこれで終わりだ。発砲後すぐに弾を撃つことはできないだろ」
俺がとどめを刺しに行く。彼女も銃弾を込めるのは諦め、ライフルで防御すべく抱え始める。
が、その時、一限の始まりを告げるチャイムが鳴り響いた。
学校規則⑧ 休み時間、放課後を除くすべての時間は普通の学校生活を送る事。またそれに付随し休み時間、放課後以外で武器を持つことは特例が出ていない限り禁じる。
「残念ですが時間切れのようですわね。続きはお預けということで」
正直このまま行ければ押しきれそうだったが学校規則に反するのはさすがに怖かった。本当に何されるか分からないからだ。無茶苦茶な学校でルールを破るほど怖いことは無い。
「しょうがないな」
俺は少しでも優位にいることを示すべく、そう漏らしてから剣を鞘にしまいこんだ。
そして、その日のうちに二回目の奇襲を受けることは無かった。
そう、あくまで奇襲は無かった。
例えFPSゲームに剣があったとしても銃がある世界で剣プレイはしたくないですよね(笑)
つまりこの小説の世界で銃を持つ彼女はとんだチーター…………
あ、次回から金髪ライフル少女とかライフル少女とか長いので咲って書きます。もちろん銀髪少女の方も亜紀って。二人をよろしくお願いします。




