33 フレームソードの登場
そしてその猛威は小雪にも及ぶ。
「おい、やめろ!」
抵抗なんてぬるい言葉辞書にはないと言わんばかりに一瞬で小雪をつるし上げ、葵と同じような状態にした。が、乳房の大きさからか、どうしても襲われているという感じもなく、なんかモンスターの方も飽きてないか? あれ。
だが、そんな中でも俺の状況判断は素晴らしい。
「先生! 何とかできないんですか」
己で戦えないと分かればより強いであろう人間に助けを求めるのみ。
そんな腐り切った根性を持ち合わす俺に対しても変な視線一つ向けずちゃんと悩んでくれる先生。やっさしー。
「そうねー。風川君にこれが使いこなせればいいんだけど……」
そう意味深な言葉を残しながら先生は一本の剣を取り出した。見た目は今手に持っているのと寸分の違いも無いのではと疑ってしまうほど瓜二つの剣。
「何ですかそれ?」
俺の質問に対して答えたのは先生ではなく、朱里の方だった。
「フレームソード――――ですね。確かに物理の効かない相手にも、もしかしたら効果があるかもしれません」
目を輝かせながら語る同じクラスの後輩を見ていると自然とやる気がわいてくる。
「分かりました。それを貸してください」
俺は先生から奪い取るようにしてそのまま二人を救うべく駆け出した。そんな俺の戦いを人ごとのように手を振りながら見守る先生からアドバイスが一言。
「気を付けてねそれ。剣を抜くだけで火が付くから…………っていうか、もう遅かったようね」って。
俺の手元から発せられた猛火は俺のことはおろか周りまで巻き込む大災害となり果てていた。
「圭先輩しっかりしてください。熱いです」
「抜いちゃったもんは仕方ないんだから早く切りに行きなさい‼」
もちろん、これで引き戻れるわけないだろ。帰ったら絶対二人から嫌われる。
俺は激熱の剣を片手に文字通り死ぬ気でモンスターへと向かっていった。
モンスターは際限なく登場する触手を伸ばしながら俺をも捕まようとする。だが、それを華麗にかわしながら俺は距離を詰めた。
先に葵がいる腕を狙い、葵の方を助けようとしていると見せかける。そしてモンスターの隙をつき意識が遠くなっている小雪の方の腕を切り落とした。
いや、切り落とすというよりかは燃やすという表現の方が正しいか。このモンスターは都合よく油で出来ているのだろうか。まるでガソリンをまいた部屋にライターを落としたように勢いよく、それはそれは見事に一瞬で燃え上がったのでした。
めでたしめでたし。
「――――って‼ 全くめでたくないわ!!!!!!
ふざけんな! 熱くて死んじまうわ! 何してくれとんじゃボケー。もうバカも通り越してボケーだ。
私の事助ける前に全身を燃やすな! てか、私も一緒に燃えるってなんでわかんないんだよー。しかも服も半分以上破けているせいで一部生身で火を食らうところだったからね!」
モンスターの燃え尽きるその寸前で葵の方を拘束する触手の締め付け具合も緩くなったらしく何とか抜け出したらしい葵による怒涛の言葉攻めと説教が始まった。
ったくなんで俺が説教受けなきゃならんのさ。助けてあげたの俺だよ。助けなかったら公衆の面前でその体を見せつける羽目になってんだよ。むしろ感謝してほしいくらいだよ。
とりあえずモンスターを倒せたということでめでたしめでたし。
きっと主人公補正でフレイムソードもそう遠くないうちに何のエピソードもなしに使いこなせていると思いますよ。
でも本当にエピソードが無いわけではありません。きっと世に出せるようなものではないのっぴきならない出来事と一緒に修得しただけで描けないのです。是非想像してみてください。どのようにして圭君がフレイムソードを使いこなせるようになったのかを。
(面倒くさいから書くのをやめたとかじゃありませんよ(口笛))




