31 小雪と朱里
「朱里! 何かされたのか?」
雪という飛び蹴り少女は俺と葵の会話なんか関係なしに朱里という試着室の中でいまだに半裸の少女を心配する。
だが、朱里の方はそれでも無理に笑顔を作り、
「大丈夫ですよ。勝手に開けられただけなので」と。
彼女の安全を確認した飛び蹴り少女の方は、再び俺に対して「この変態が」という厳しい視線を送ってきた。
だが、葵がケロッとしていること、葵と彼女たちが友達である事、そんないくつかの要因によりもはや俺に反論の余地は残っていなかった。
「うぅ、本当に悪かった。許してくれ」
「雪ちゃ~ん。私からもお願い。許してあげて~」
「まぁ葵がそういうなら」
なぜ! まぁ許されてうれしいけど、なんで葵にはそんなに甘いんだよ! 俺のとことは人間とも見ていないくせに。
*
そんな感じで色々あったが、何とか収集はついた(だろう)。
改めて葵に二人を紹介してもらった。
俺が裸を見てしまった方が内田朱里、そして飛び蹴り少女が春風小雪らしい。
「全く先輩ったらあわてんぼうさんなんですから」
朱里の方が俺のことを軽くつんつんしながらからかってくる。身長が低いこともあり、つんつんしている位置も俺の胸付近でかわいらしい。まるで妹みたいだ。
だが、それ以上に彼女の言葉に少し違和感を感じずにはいられなかった。
「先輩? あれ、でも同じクラスなんだよな?」
だが、この場にいる人間のうち、違和感を感じたのは俺だけらしく、
「圭君ったら何言ってんのよ。本当に何にも知らないんだね。朱里ちゃんは私たちの一つ下で、附属中学校の成績トップ、剣術もトップってことで特別扱いされてるのよ」
と、葵が親切に教えてくれた。
一応朱里にも確認してみたが本当の話らしい。
小雪の方は「ふん、そんなことも知らなかったのか」と俺に対する軽蔑度をさらに上げているご様子で。
さすがにこの人から信頼されるようになるのは難しいかも知れない。
そんなことを考えている矢先、本日二度目の悲鳴が聞こえてきた。どちらかと言えば男性よりの「キャー」よりも「うわぁー」って感じの悲鳴が。
「おい、あっちだ」
「どこどこ~、雪ちゃ~ん」
「あ、あっちにいます、ほら右側」
真っ先に小雪が駆け出し、それを葵、朱里、俺の順で追いかけていた。
そして、ショッピングモールの中心地辺り、ついに悲鳴の原因となっている物を見つけたのだ。
次回から再び戦いのあるシーンへと入っていきますよ~




