28 葵との気分転換
「いや~街に来たのは久しぶりだな~」
翌日、約束通り俺と葵は前に由美ちゃんと来たショッピングモールに出かけた。
「で、どこ行くんだ?」
だが、今回は俺が引っ張っていく側ではない。それだけでも幾分も気が楽だった。
それに対して葵の表情は重い。ただ、引っ張っていくだけでなく、俺に元気を出してもらおうとしているのだ。となればどこに行くのが楽しいのか、いつも以上に考え込むのは仕方のないことだろう。
「葵の行きたいところならどこでもいいぞ」
だから俺はフォローを入れてあげた。 俺めっちゃ優し~。
その優しさをしかと噛みしめてくれたのだろうか、彼女は無邪気な少女の顔になり、「ホント」と声を弾ませながら俺の手を取り、走り始める。
すげーどさくさに紛れてるけど、初めて俺と葵は手をつないだ。恋人つなぎとかではなく、がっちり葵が俺の手を握り締めるようになっているが、それでも緊張しないわけがない。
好きでもないのに女の子に手を握られるとこんなにドキドキするんだ。
だが、そのドキドキさえも一瞬で覚ましてしまうのが葵という人間である。いや、化け物である。
「あ~あそこのバッグかわいい~」
「あ、こっちではくじ引きやってるよ~」
「あのラーメンおいしそ~」
「あっちのパフェを食べた~い」
「このぬいぐるみ可愛い~買って~」
もう逆に手を離してほしい…………。
このままでは俺は本当に目を回して死んでしまいそう。だからこそ俺は彼女が手を離すように仕掛ける。
「あ、あお……」
「圭君~最後にあそこの『ハイコスチェアー』ってお店に行きた~い」
無理だった。うん、もう諦めよう。
「ハイコスト・チェアー? 費用のかかるイスが欲しいのか?」
「んなわけないでしょ! ハイコスト・チェアーじゃなくてハイコスチェアー。服屋さんの名前よ」
と、言いながら彼女はさらに距離を縮め俺の腕の中に腕を入れてくる。もう密着状態だ。
「お、おま……」
「こうでもしないと圭君逃げちゃうでしょ☆」
謎のテンションを完全キープで彼女は店の中に入っていく。
いや、まって。このつなぎ方――てか腕の組み方は、二人の歩調があって初めて成立する組み方だからね。痛い、痛い、痛いよ! 俺引っ張られてるから! 足引きずってるし。もはや俺の体、45度くらいで傾いちゃっているから‼
なんて言葉に声にもなっていない声に葵が耳を貸すわけもなく、俺はそのまま連れ込まれ「これとそれとあの服を着てくるから」とこそあど言葉を連発したのち俺を試着室の前に残して中に入ってしまった。
やっと待ちに待った解放である。
だが、気分転換の地獄はこれからが本番だということを俺はまだ知らなかった。
彼女にするならどういうタイプがいいですか?
① 葵みたいな元気なタイプ
② 由美ちゃんみたいなおしとやかなタイプ
③ その他(面白い設定がくれば新キャラになるかも⁉)
登場人物があんまりいないので三択です。(ぜひ感想欄にでも答えてください)(もちろんただの興味本位なアンケートです)




