1 天真爛漫少女
いよいよ、高校に入りますよ!
四月八日――――雲雀学園の入学式当日。
「やぁ。私は葵、川上葵。あなたは?」
俺は桜並木の入り口ともいえる校門から十歩といかないところで変な奴に絡まれていた。
いや、会話だけを見ればそう見えないかもしれないけど、よく考えてみてほしい。
今日は入学式当日。当然高校は中学までと違い、学区とかないから、ほとんどの人が初対面。突然俺の前に現れた、この少女だって例外ではない。
「お、俺は、風川圭だ」
だが、さすがにいくら不審とはいえ、紺というよりも黒に近いブレザーに特徴的な青い蝶ネクタイをしている以上この学校の生徒に違いない。
ここは県内ランキング最下位の私立高。こんな奴がいてもおかしくはないのか。
さらにこういう誰にでも声を掛けていくタイプの女子はクラスでも中心的な人物になりやすい。となるとここで彼女のことを無視する方が俺の華々しい高校生活に支障をきたす。
といった、なんとも論理的思考によって俺はこの女ともしっかり話をするべきだという結論に至った。
だが、そんな論理性は彼女の一言によって一瞬で崩壊する。
「ははぁん。君も落ちこぼれ君ね~。まぁこれからもよろしくっ」
『あ、こいつ無意識に大量の敵を作るタイプだ』。一瞬でそう悟ってしまった。
なら仲良くしたところでしょうがない。いやむしろ仲良くしていると俺までみんなから敵視されてしまう。
まぁでも彼女はそんな未来なんて全く想像していないのだろう。穢れのない笑顔で「ほ~ら~早くしないと入学式遅れちゃうよ」と軽く肩をたたいて駆けていく。
ヤバい。あいつ口開かなければ好きになりそう。
けど、あいつは俺の事なんて好きにはなってくれないだろう。今だってもう、数メートル先を行く男子に声を掛けてるし。 きっとあいつの中で俺はモブ1以下なんだろうな。
まぁいいさ、別に好きになったわけじゃないし。なんかいきなり話しかけられただけでもう、話すことなんてないんだろうから。
そう思ってた。そう思ってたけど現実ってうまくいかないもんだな。
「おっはようございま~す!!」
俺の教室に彼女が入ってきた。
いや、入学式前に話しかけてきた少女が教室に入ってくるなんてラブコメでしかないですよね~
そもそも現実、入学式前に女の子から声なんて掛けられないし。
さて、ちゃんとラブコメは続いていくのでしょうか? お楽しみに。




