27 乱闘戦のその後
乱闘戦から一週間くらいが経っただろうか?
あの後のことは俺もあまり覚えていない。手元には3枚のバトルチップが増えている。なんとなくある記憶を探ると、怒りに身を任せて斬れるだけ人を斬った気がする。何人斬ったか分からない。気が付いたら葵以外の人間がいなくなっていた。
それから先のことも記憶があまりない。何か目立ったことをした記憶も、思い出に残るようなことをした記憶も。
俺の視界に移るのは薄茶色い机と、ところどころ白く濁っている黒板だけだった。
今日もいつもと変わらない景色。だが、そこに一人の少女がゆがみを入れる。
「ね、圭君。明日二人で街にでも行かない?」
彼女もまた遠慮してだろうか、ここ一週間は今までのように話しかけてくることは無かった。それこそ乱闘戦後初めて彼女と言葉を交わしている。
「街? 二人で?」
だが、一週間である程度は割り切れていた。こんな世界に身を置いているんだ、最初から死ぬ可能性はいくらでもあったんだと。そりゃ由美ちゃんの話をすれば今でも走馬灯のように彼女との日々は蘇ってきてしまうけど……。
ただ割り切る事のできた要因はそれだけじゃない。由美ちゃんのおかげでもある。彼女が最後に笑ってくれていたからこうやってプラスに考えることが出来る。
どうしてライフポイントが一しかなかった彼女が俺を庇ってくれたのか。
彼女は俺に未来と想いを託してくれたのではないだろうか? 俺はそう考えることにした。俺の心の中で彼女は生き続けているって。
下手な漫画の主人公みたいで小っ恥ずかしくなるけど、バカな俺にはそう考えるしか彼女の行動を理解することが出来なかった。
ならいつまでもうじうじしているわけにはいかない。彼女の想いを遂げるためにも前を向かなくては。
それが乱闘戦後、三日三晩家で泣き叫んだ俺が導き出した結論だった。
ゆえにそれから四日も経った今はものすごく冷静。冷静だからこそ彼女の言葉もしっかりと受け止めてしまった。
二人で街にって……デートじゃねぇぇぇぇーーーーーーかそれ‼ ってね。
おいおい、いきなり何言ってんだ葵は。急にデートに誘ってくるなんてらしくもないし、この一週間に何が起きたんだ。
なんてパニクっていたけど、彼女の方は至って真剣なようで「行かない? 気分転換に」と深刻そうな顔だった。
そこでやっと理解する。彼女はデートがしたいのではない。乱闘戦後の俺がずっと勉強ばっかりしている(テストヤバそうだから)ことを心配しているんだ――と。
そう考えるとここで無視したり、断ったりでもしたら、さらに彼女を心配させてしまうことは目に見えていた。
「いいよ。行こうか」
そう答えると思った通り、彼女の表情は少し和らいだ。
ここからしばらくはまた、明るい展開に戻していきたいと思います。
戦闘が好きな方もうしばしお待ちください(明るいことを書かないと自分の心が持ちません)




