24 『あるやつ』vs由美
先制攻撃を仕掛けてきたのは『あるやつ』の方からだった。
ゲーム世界に出てくる大剣のような一回り大きな剣を由美ちゃんめがけて振りかざす。
そして、それを彼女は自分の細い剣で止める。俺のを止めた時と同じように剣を横にもって力を分散していた。
そして相手の剣をうまいこと流して、自らの攻撃に転じる。スピード重視の彼女にとっては最高の立ち回りだ。
だが、それは惜しくも躱された。でも特訓の成果は出ている。『あるやつ』が動かなければ確実に剣を当てることが出来ていただろう。
それからもお互いに攻撃を譲らず、攻めて、攻めて、攻めるだけの力勝負が続いていた。避けられなかった方、もしくは防御できなかった方が不利に転じるのは明らか。
そして、その有利を勝ち取ったのは由美ちゃんの方だった。
相手の一瞬のスキをついて足を払い、そして体の方に連撃を浴びせる。
「ぶはぁ……や、やるじゃねぇーか」
急所こそ外れていたが『あるやつ』にはそれなりのダメージが入っている。
そんな中で俺と一緒に物陰から二人の様子を見ていた葵が何かを見つけた。
「見て~あれ」
俺も彼女の指につられて示す場所を見る。
そこにはさっきまでいなかったはずの男たちが二人を囲むようにして立っていた。
数はざっと八人だろう。八方位にそれぞれ一人がいる状態だ。
そしてそいつらが何者なのかは『あるやつ』の言葉ではっきりする。
「ふん、俺に攻撃を当てたことは褒めてやろう。だが残念だったな由美。これで終わりだ。お前はもう完全に俺の縄張りに入り込んだ鼠だ。俺の仲間たちに囲まれて逃げられたやつはいねぇー。いいか! こいつを殺した奴には特別に優勝時にチップを二枚やろう。このクソ眼鏡女の死に顔を俺に拝ませやがれ」
『あるやつ』が鼓舞することで周りの男たちが活気づく。
その様子を俺が黙って見ている――――なんてことはできなかった。
気が付けばその円に、校庭の中心めがけて走り始めていた。 俺の後ろでは「圭君? 何する気」なんて葵が聞いていたものの、俺が答えられる距離にはもういなかった。
か弱い女の子を寄ってたかっていじめるなんてサイテー!
と、正義感の強い圭君でした。
次回はそのまま圭君もこの戦いに参戦です。




