111 黒幕の登場
実弾を避けるだけでもかなり困難な代物だろう。だが、如月が俺の事をビビっているからだろうか、距離がある。これなら避けられなくもない。
「まぁすぐに楽にしてあげますよ」
如月が銃口をこちらに向ける。
避けようと思えば避けられる。でも、避けたなら…………。
『後ろの葵は逃げられない』
葵のステータスが実弾銃をも弾けるレベルまで上がっているなら問題は無いがその可能性は低い。
どうしたら……。
俺に考える時間など与えられなかった。
バンと死を告げる音が響く。俺はとっさに「火力全開」と剣を地面に突き刺し火柱を。
さっきは葵を倒すために使ったが今度は己を守るため。範囲は狭くなっていたが俺を守るために何層にも連ねながら炎は天高くのぼる。
そこに銃弾が通るのだ。鉛でいや、金属でできたものなら高熱で溶かすことが出来る。
読み通り如月の撃った弾丸は俺のもとに届く前に溶け切った。
これを繰り返しても構わないが、それでも圧倒的有利になるのは如月の方だろう。何せ――。
「アイスビーム」
瞬時に俺は炎を解除し脇へ。そう、彼女がいる以上如月の弾を防いだところで葵から攻撃を受ければ俺はやられる。逆に葵との戦いに集中していても如月に撃たれる。
だが、一つだけならこの状況を打開する方法もある。
『洗脳した元凶となる人物を倒す』
つまり葵は相手にせず如月にだけ攻撃できればそれでいい。さらに俺が近づかなくたって如月を倒す方法があるじゃないか。
葵にあの技を誘発させることさえ出来れば……。
俺は背後に如月がいることを確認、さらには銃を構えていないことも同時に確認。
「大丈夫だ」
そして葵に「行くぞ」と声を掛ける。洗脳されていようが俺たちはペアだ。俺たちの絆の力を見せてやる。
「火炎剣」
俺が葵に向けてブーメラン上の炎を何発も打ち込む。もちろんそれを返すには彼女は魔法を使うしかない。
「フリッジ!」
俺の「火力全開」の氷版のようなもの。冷気を自分の周りに放ち、周りにいる人間を一気に氷漬けにする技。おそらくさっき自分を氷漬けにして身を守った時も使ったのだろう。同じように自分を氷に閉じ込め、火炎剣をすべて受け切った。
「なら次はこっちから行くわよ! アイスビーム」
彼女の指先から放たれる氷のレーザービーム。そうだよ。それを待ってた。
俺は彼女の攻撃をギリギリまで引き付けて、そしてしゃがむ。
如月は葵と俺の直線上にいるのだからこのままアイスビームがまっすぐ抜けて行けば向かう先は。
それ以上を語る必要は無いだろう。すぐに男の野太い叫び声が響いた。
「ビンゴ!」
これで如月は動けなくなった。後はその体に剣を突きつけるだけ。何なら彼が瞬間手放してしまった実弾銃で撃ってしまいたいくらい。その度胸さえあればの話だが。
何はともあれこれで葵を救える。あいつを殺して……。だが、それを彼女は許してくれなかった。
「ねぇ圭君。決着を付けよ」
次回で葵との対決に決着を付けられることかと




