109 圭vs葵
続きです
『全力で俺を倒しに来い‼』
「ただ一つよ~く聞け! 一位になるというのは真の強さで強者を破った時に手に入るものだ。自分を強者と呼ぶようでちょっと気が引けるけど、今の葵みたいに誰かに操られ、誰かのために俺を殺し、その結果のおまけとして付いて来る一位という名誉には何の価値も無い! まぁ俺がそんな不名誉を渡すわけないけどな」
その言葉と共に俺はフレイムソードを掲げて葵の方へ走り出す。
「火炎剣」
横薙ぎに剣を振るい炎を地面と平行線上に飛ばす。勢いを増して空気を切り裂く炎は、しかし葵の華麗なバク宙でうまくかわされた。
そしていつもより葵の動きが速い。俺の攻撃を避けたかと思えば音速で俺に接近しすでに剣を振るっていた。
「ぐ……」
『かろうじて』って言葉が正解だろう。俺は葵の剣を己のフレイムソードで受け止める。
そこからも葵お得の連撃が。それを一つ一つ弾いて返した。
なんだかんだ言ってもやっぱり葵は強い。普通の学校で剣道部でも入っていれば普通に部内一位だって狙える可能性はあるだろう。
それに加えて今は必要も無い力までつけている。けど、力をコントロールされているせいで葵本来の『相手の隙をつく』という攻撃は出来ていない。単純で明快。俺の読み通りの攻撃しかしてこない。
「ぬかったな。葵の使い方が下手すぎるんだよ」
俺は見切るというか彼女の攻撃を読み切り、さらに一個分先へ。葵が攻撃してくる方向を予想してカウンターの準備。
「火力全開」
俺が校庭に剣を突き刺し、半径五メートルは一瞬にして焼け野原と化した。(焼け野原と言っても、もともと校庭だから焼ける草も木も無いんだけど)。
「これで終わりだ」
俺は地面に刺した剣を引き抜き前を見やった。そして葵を元に戻すために彼女の元へ――――そう思っていたが俺が足を踏み出すことは出来なかった。
葵が立っている。それも半径五メートル圏内。
「お、お前、どうして立ってられるんだよ」
「いや~ほっんとうに驚いたよ~。もうちょっとで死ぬとこだった。圭君ったら忘れちゃったの私の魔法」
もちろん忘れるわけない。アイスストーン――――氷魔法。
「そ、氷魔法。それを自分自身に向けて放ち、私の体を氷漬けにする。そしてそこに圭君の技が命中。すると~、あ~ら不思議なことに氷がぜ~んぶ溶けて私はここに立っていられるって戦法よ。まぁバカな圭君には理解できないかな~」
「なるほどな。バカの俺でも分かるよう説明サンキューな」
洗脳されていてもこいつは俺の事をバカ扱いするのか。
とは雖もさっきの俺の言葉は訂正した方がいいっぽいな。いくら洗脳されてようとも葵は葵だ。本当に戦っていると色々な場面で驚かされるよ。
だからこそ、さらに本気を出させてもらうよ。全力でやり合おう。葵。
主人公とヒロインの熱い戦い。そしてさらに次回は新たな敵も登場して……




