107 圭と咲のコンビネーション
世の中には多勢に無勢という言葉がある。多くの人数に対していくら強力な少数で向かって言っても勝ち目がないという意味らしい。
が、そんなものが成り立つのは相手もそれ相応に強い人間がたくさん集まっている時だけだ。いくら数を揃えたところでそれが雑魚ばかりなら何の力にもならない。
正直こう言っちゃなんだがA組に所属する生徒のほとんどはその雑魚と差異ないと考えていた。
が、今日は何かが違う。
全然優位に戦えない。むしろ押されているくらいだ。辛うじて咲の援護射撃のおかげで俺がやられる事は無かったのが唯一の救い。
何しろ俺の剣が上手く入らない。みんなの素早さが早いからか一撃一撃が重いからか。
この調子で数十人を相手にするのはかなりきつい。
だが、その辛さは後ろから銃撃を繰り返す彼女に伝わらない。彼女からしてみればクラスメイトだからと俺が手を抜いているようにしか見えないのだろう。
「全く何してるのですか。圭様の力ならクラスのみんなぐらい簡単に倒せるのではないんですの?」
「いや、それが……」
俺の言葉を遮るように銃声がもう一度。
「ほら、油断してるとすぐに斬られてしまいますわよ」
もう作戦会議をしている時間も無い。咲の銃自体は効いているし、だいたい当たり所も良く、一発で仕留められている。相手のステータスが上がっているとしても防御力に関しては普通に人間なのだからあまり変わっていないらしい。
そうであるなら俺も剣を当てる事さえ出来れば勝機はある。
俺はとにかく無我夢中で剣を振るった。誰を相手にしてどんな風に戦っているのかさえのちには覚えてないくらい狂乱状態で、そうしなければ俺が殺されてしまうから。
その覚悟を持った攻撃は功を奏し、気が付いた時には小雪や朱里、亜紀たちももう倒れている。
「ようやっと落ち着いたみたいですわね」
「あぁ、あと少しだ」
俺と咲は残りの人たちにも容赦なく向かっていった。相手も怯むことは無い。少しでも手を抜けば一瞬で流れは変わる。
それでも俺の剣と咲のライフルの波長は見事で、俺が斬りそびれた敵に関しては確実に咲が仕留めてくれるという安心感があった。
――――あったのだが、その銃声が突如ピタリと止む。
もちろんまだ敵が全員倒れたわけでは無いし、咲が手を抜くとも考えにくい。
「咲?」
そう声を掛けて振り返ると俺の目に一瞬だけ彼女は映りそして消えて行った。画面下へと。
「ご、ゴメン。圭様……あとは、がんば…………って」
そんな微かな声は俺の元にも届かず無情にも空へと消えて行った。
皆は仲間を友達を倒すことは出来ますか?
もちろんこの話はフィクションなので現実ではやらないでくださいね(笑)




