100 ロスト学園の教員たち
校長室では神崎星羅がひっきりなしに机の上にあるものを持ち上げては置くという意味のない行動を繰り返していた。
それ自体は大して珍しい事では無かったものの今日はその時間が長く、さすがに他の先生たちにもその嫌な空気が伝播していた。
「校長。A組の風川と川上――」
「分かっている! ちょっとは黙っておれんのか!」
だが、だからと言って校長に近づけるわけでも、何かアドバイスが出来るわけでも無かった。
「ったく、イベルタスをあぁも簡単に倒すか普通? あそこで死ぬことは無いにしてももうちょっとダメージを負って、最悪戦意喪失してくれることさえ期待していたのに、結果的には大量のバトルチップをあげるだけに終わってるじゃないか! 殺そうとして、むしろ卒業に近づけるとか、私は一体何をしてるんだよ!」
その握りこぶしで机の上にあった花瓶を割った。
「ですが校長。強い人間がいるという事はむしろこの学園の目的にはあっているのではないのですか?」
そんな中でも怖気づく彼女にアドバイスをしたのは新井先生だった。
「それでも卒業生を出してはダメなんだよ! 卒業生を出さなかったからこうしてこの学園にはたくさんの兵が残っている。仮に卒業生を一人でも出してみろ。他のやつらが活気づいて『俺も私も』って卒業祭りになってしまうではないか」
「では失礼ながら校長はあの二人に対して今まで卒業試験を受けた子たちのように上手くはいかないと考えているのですか?」
「もちろんそんなことは無い! …………無いんだがイベルタスをたった二人とお母さんだけで倒してしまったんだぞ。あまりに強すぎて反乱を起こすような因子は私の学園には必要ない。殺せるのなら殺してしまった方がいい」
校長のその声に瞳に、本気である事を理解できない先生はいなかった。
「分かりました。それでは校長ここで一つアドバイスなのですが、どうやら今日は風川と桐原が欠席のようで。保護者からの連絡も無いので原因は分かりませんが本日なんかは狙い目なのではありませんか?」
新井先生の言葉に校長は納得したような表情を見せた。
「なるほどなら仕掛けるか。如月先生、前に話していた仕掛けは準備できていますか?」
校長に呼ばれた如月という男は終日白衣をまとっている謎多き科学の先生。
先生ではあるものの性格上、生徒にあまり好かれていないことから大体呼び捨てで呼ばれるような教員だ。
「えぇもちろんでございます」
如月がメガネのブリッジを人差し指であげると不気味にメガネは光った。
ついに100話まで到達しました! いや、ここまで長かったような短かったような感じですが三カ月以上続けてきているんですよね。
ここに来て少しずつ話が動き始めてきました。この雲雀学園――――ロスト学園はだいぶ裏があるようです。




