99話 天然物のピュア
俺と葵の修行から二週間が経ち季節もすっかり冬に。
願望としては冬の寒さゆえに学校が無くなるなんて事があればいいな~って思うけど、まぁそんなわけはないので俺は普通に登校し校庭に入った。
「圭様じゃありませんか」
その時、木の上から咲が降ってくる。お嬢様のくせにアスレチック的なことを好んでいるあたりどうなんだ? 亜紀さえいなければとにかくあちらこちらを動き回っている女の子って印象だ。
「ねぇー圭様。わたくしたちって今まで一度もデートしたことないわよね」
まぁそもそも絡みすらそんなになかったしな。この間のイベルタス戦で走馬灯のように出てはきたけど大して思い出無かったし、よくよく考えれば戦って共闘して、俺たちってそれしか無いし。
「そんな圭様とせっかくだからデートプランを用意しましたわ。本日よろしければ」
スカートの先をつまみ、舞踏会のダンスを誘うかのように軽く頭を下げる。そういうアプローチをされるのは初めてで、つい緊張してしまうけど……いや、ちょっと待て。
「そもそも普通に平日じゃねぇーか今日!!!!」
てかそのためにわざわざ電車乗って学校まで来てるんだから。
「学校なら大丈夫ですわ。抜け駆けの方がスリリングで面白いですもの」
なんてことを言い出すんだこいつは。
「亜紀や葵には内緒の二人だけのデートですわよ。異論はありませんわね」
異論なら大量にあったのだけど、スッと俺の左腕をつかむや否や誘拐されるがごとく俺は咲に引っ張られ彼女の高級なリムジンに詰め込まれた。
*
リムジンの走行中。学校では当然のように俺と咲がいない事について問題になっていた。
「ねぇ~雪ちゃん。圭君知らない?」
「知らない。あいつったら授業サボってどこ行ってんだ」
困惑する二人のもとにやってくるはこちらも困惑状態の北内亜紀。
「亜紀ちゃん。どうしたの~」
「あ、川上さん。その、さっきからずっとお嬢様を探しているのですがどこを見ても見当たらず……」
まるで一生の不覚とも言わんばかりにローテンションなその声に葵も引っ張られる。
だが、それとは正反対に何かスッキリしたように晴れた顔をするは小雪。
「ふーん。圭と咲が二人揃っていない……と。これは怪しいわね」
「あ、怪しいってどういう事‼」
「お、お嬢様に何が‼」
その勢いに言った本人でありながら気圧される。
「いや、違う違う。二人ともバカじゃないんだから。怪しいって別に事件に巻き込まれたとかじゃなくて、二人であんなことやこんなことをしてるんじゃねぇーかって事だ」
「な、何なのよあんなことやこんな事って」
「お嬢様が一体何を」
そのテンションに冗談という概念は無いようで本気で二人の事を心配する二人を見て小雪は思った。
「ピュアだなーこいつら」
久しぶりに圭と葵の絡みではないマッチングです。




