二日目の魔法練習
日が昇った! さあ起きよう!
うん、多分よく眠れてた。
炎と風と木の魔法で簡易ベッドを作ったからね。温かかった。
今日も魔法の加減の練習しよう。実際、昨日の爆破魔法以外は全然ダメだしね。
例えば、この簡易ベッド。作り方は、まず柔らかい木を作って炎魔法を付与。温かくするため。
この時点でアウト。木の持ってる熱が問題。
燃えてないよ、木は。でも、置いた途端に地面が溶けちゃうくらいの温度。すぐに持ちあげたら地面がガラス化していたもの。
氷を地面に張ったら収まったけど、近くまで来た虫が一瞬で凍り付いていた。
これが敷布団ね。
で、掛け布団は風魔法と炎魔法の融合。近くに来た虫は一瞬で消し炭になった。
私がこれで寝て大丈夫な理由は、ひとえに防御力が高すぎるせい。熱は人肌くらいにしか感じないし、風だって春風程度。
それにしても氷を張っておいてよかった。でないと起きた時はきっと地中だったわね。
「便利だけどもう少し制御効くようにしてほしかった………」
どこにいるか分からないイザヤに文句を言う。
さて、と。練習始めるか。
今日は風の魔法の制御練習にするか。狩りが出来るようになりそう。
お肉は食べたい。まだ二日目だけど。
制御は頑張らないとね。でないと狩りたい動物が吹き飛ばされるか切り刻まれて終わりかのどっちかしか有り得なそう。
「風の魔法はウィンドカッターを作ってあったから、それの制御ね」
そしてやってきた森の一角。そこには異様なほど大きくなっている木々がたくさん。
これは加減の出来てない魔法を使って切り株になった木を、同じく加減の出来てない木の魔法で急成長させた結果。ちなみに、木は元と比べ物にならないくらい堅くなった。
「よし……『ウィンドカッター』」
力は抑えたはず。
でも結構広範囲で影響があったみたいね。木に傷がついてる。
これを小さくすればいいんだよね。圧縮しちゃダメだから、一部を切り取った感じで、と。
「これでいけるといいな。まあどうなるか分からないけど。『ウィンドカッター』」
今度は小さい風の刃が生まれて、一本だけに傷をつける。
この木だと分からないから、とりあえず地面にウィンドカッターを打ち込んでおく。
スコップで掘ってるのと同じくらいに地面が抉れる。うん、まあこれくらいならよさそう。
「次、水の魔法にしよう」
お魚、捕りたいから。
というわけで池に移動。海でもいいんだけど、昨日海でやった時に危うく大災害が起こりかけたからね。
「そういえば……今の魔法だと水のある所じゃないと使えないわね。それだと不便だから、魔力を水に変えよう」
イメージは……爆破魔法で燃料を作るときと同じかな。魔力を粒と考えて、それを水のに変えて集める。
すると、集めた魔力が中心から水に変わっていった。透明でキラキラとしている。
「おおお………これを魔法に変えよう。うーん……『ウォーターカッター』」
球で浮かんでいた水が形を変え、刃となって向こうへ飛んでいく。
「しまった………」
現在地は森と荒野の境。ウォーターカッターを飛ばした方向は、川の方。
あっちにも森はあるけど、こっちとは比べ物にならないくらい木が少ない。
ウォーターカッターがさっさと蒸発してくれることを祈る。威力を調節してないから、途中で魔力がなくなって消えました、なんてことにはならないような気がする。
「ああいうのは森か防御結界を張った場所で練習しないとダメね」
次からは忘れない。いや、忘れちゃいけない。
池に到着して、そこを覗き込んでみる。
あ、お魚いた。大き目の金魚っぽい……よし、鑑定。
……リバーレッドフィッシュ? 食べられるって書いてあるけど、見た目は金魚だよ?
まあそこは異世界。金魚とは全く違う魚だと信じよう。
網が無いので水を操る。
魚の周りの水を切り取って、空中に浮かせて、陸上に移動させる。
昨日覚えた水の魔法の応用。ただ、昨日は海で練習したため思ったより大きな水の塊になり過ぎた。まあ要するに、それが大災害になりかけた件の事。そっと戻したから波は起きてない。大波になったりしたら塩害がありそうだったから。
って回想してないで魔力制御とイメージに集中しないと! また何が起こるか分かったもんじゃない。
集中集中。
「……っはあ、出来たーっ! って逃げたーっ!?」
お魚を陸上に置くまでは上手くいった。
活きが良すぎて川に戻られた。
もう一度同じお魚を捕まえる。今度は川からそれなりに離れたところに置いたため、逃げられる前に木で作った籠に入れられることが出来た。
その木の籠を川の中に入れておいて、魚は活きの良いままにしておく。
どうせなら美味しく頂きたいし!
その後、別のお魚も捕まえて籠に入れていく。たくさん取ることが出来た。
魔法は、制御が上手くいってきたので海の方でも練習してみた。
これで水の魔法も上手になった。
さて夕暮れになった。
採ってきた薪に火をつけよう。
普通の木である薪が一瞬で灰にならないように、出来るだけ抑えて炎の魔法を使う。
よし、キャンプファイヤーの火。
捌いておいたリバーレッドフィッシュを浮遊魔法で浮かせながら火に近付けて焼く。
しばらくしたら、視界に『食べ頃』という文字が現れたため齧りついた。
「!? なにこれっ、美味しい!」
このリバーレッドフィッシュ、お魚なのにお肉みたいにジューシー!
フィッシュなのに、焼き鳥みたい。
捕れたもう一種類のお魚、リバーブルーフィッシュも焼いてみる。
で、食べ頃という文字が出た頃に同じように齧りつく。
こっちは、しっかり魚の味。物凄く美味しい!
こっちも肉厚なお魚ね……どれだけ素材が美味しい世界よ。
今まで食べている物、調理はろくにしていない。
今まで採ってる果物もお魚も、素材の味が前の世界より美味しいのね。
食べ終わって、もう一度簡易ベッドを作って就寝。炎と木の魔法はまだ調節が難しいけど、風はもう出来てるから掛け布団はふんわり。
火を消して就寝。明日は炎と土の魔法の練習かな。
しばらくは毎日投稿できると思います。