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これが僕らの異能世界《ディストピア》  作者: 多々良汰々
第一次星片争奪戦~日本編~
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第5話 皐月の夜は明け、光は満ちて…… Part2

 自分で言うのはなんだけど、わたしは良家の娘だったの。父は一代で財を築き上げた敏腕社長でね、母はわたしが物心がついたころには離婚していたから会ったことがないわ。わたしは運が良かったのか悪かったのか、父に引き取られてね。後になってわかったことだけれど、わたしの母は病弱だったみたいなの。父は母に子供(わたし)を産ませるだけ産ませて捨てた。そんな人物でね・・・・・・


 わたしは恵まれた成長環境を与えられていた。平日は学校から帰ったら毎日習い事をさせてもらって、夜には家庭教師の授業を受けて。平日は父に会うことはなかったんだけど、休日は違った。休日には父はわたしを連れて会食に連れて行ってくれた。そこでいろんな裕福な人たちとお話しして・・・・・・同年代の子もいたけれど、わたしを見て逃げていった。きっとわたしの父がどういう人か、その子たちは親から教えられていたのね。


 父は欲しいものはなんでも手に入れる人だった。野心家と言えばまだ聞こえが良いけど、貪欲なだけと言えばその通りね。手段を選ぶ人ではなかった。だから汚いことを多くしてきていた。敵対する企業の要人をヘッドハンティングしたり、話を聞かない社員がいれば首を切る。比喩じゃなくて、裏の組織を利用して本当に亡き者にしていたみたい。そんな人だから、恨みを買ってばかりでもあったと思うわ。


 ある時ね、珍しく平日に父が帰ってきたの。とある男の人を連れて。メガネを掛けていて、清楚な感じだった。多分二十代の後半くらい。父はわたしとその人を二人きりにした。それでその人とお話をしたの。話が上手な人だった。それでわかったの。その人が父の企業より格上の企業の社長だということがね。それから少しして父は帰ってきた。それで父はわたしに告げた。その人が私の結婚相手だって。


 驚いたわ、もちろん。まだ12歳の子供よ。それなのに結婚だなんて・・・・・・頭の整理がつかなくなった。父ははやく愛を誓えと言ってきたけれど、その人はわたしに時間をくれた。だからベランダに出て、星を眺めたの。


 とてもきれいな星空だったと今でも覚えているわ。その星を見ながら、いろいろと考えた。結婚だなんて、よくわからなかった。いつかするんだというぐらいにしかね。でも心のどこかで期待していたの。白馬の王子様と結婚することを。でも諦めなくちゃいけなかった。父の言うことは絶対だから。従わなければ何をされるかわからないから。


 覚悟を決めたわ。そして二人の元に帰って、婚姻を受け入れた。二人とも喜んでいた。これで良かったのだと、わたしは自分に言い聞かせた。浮かない顔が一つ、鏡に反射していたけれど。


 自分の部屋に戻って、横になったけれどなかなか寝付けなかった。まだ幼かった。自分がしたことを完全に理解するのには時間がかかった。でも考えている内に疲れてきた。だからそっと目を閉じたの。


 でも物音で目が覚めた。まだ夜だったのにね。廊下の方から音が聞こえて・・・それからわたしの部屋の扉が開いた。部屋に入ってきたのは――その人だった。なんだか様子がおかしかった。気分が悪いのかなと思ってその人に近寄った。それが間違いだなんて気づかずにね。鼻息を荒げ、わたしをなめるように見たと思えば・・・・・・わたしをベッドに放り投げた。流石のわたしでも身の危険を感じた。だから逃げだそうとしたけれど上にのしかかられた。一度大声を上げたけれど、すぐに口をふさがれてしまった。ああそうか、私の花が散るんだ。そう自分を捨てそうになった――


 その時、パリンと窓が割れたの。入ってきたのは・・・・・・灰色の髪をした、赤い瞳の少年だった。あどけなさの残る顔をして、たぶんわたしと同い年だったようね。そう、私を助けたのは白馬の王子様(あなた)だったわ――



「ああ・・・・・・思い出した。対象を狙って屋敷の屋根を歩いていたら、下の階から少女の叫び声が聞こえてきた。ただごとじゃないと思って入ってみれば・・・・・・」


「ここまでと思った瞬間に助けてくれたんだもの。惚れないわけないでしょ?」


 俺の耳に異音が聞こえて部屋に進入したとき、男が少女の服を破こうとしていた。少女の顔には諦めと絶望が張り付いていて、透明な雫を湛えていた。何が起きているか明らかだった。だから俺は――


「その男をあんたから引き剥がした。それからあんたに背を向けた上で射殺した」


「銃声なんて聞いたことなかったのよ。もちろん人が死ぬところなんて見たことない。トラウマになりかけたんだから!・・・・・・・でも、本当に感謝しているわ。わたしを守ってくれて」


 一輪の花を救った・・・・・・俺はそんな風には記憶していなかった。暗殺対象でない不要な人物を殺害した。後で依頼主に大目玉を食らったことの方を鮮明に覚えている。


「話はそれで終わりじゃないだろ。俺はその後、あんたの父を殺しに向かった――」



 そう。あなたは何事もなかったように部屋を後にした。わたしを振り返ることすらせずね。対してわたしはその場に凍っていた。その数分間の内に起こったことがあまりに強烈すぎてね。


 でもあなたが部屋を去ってから少ししてからわたしもあなたを追いかけた。それで追いついたと思えば・・・・・・あなたは父の額に風穴を作っていた。肉親がこの世を去ったときに感じるのは、深い悲しみだと思っていた。でもね、わたしはそうじゃなかったの――


 父は娘のわたしさえも道具だと思っていた。いえ、商品という方が正確かしら。父はわたしにいろいろなこものを与えた。そのどれも、わたしが望むものじゃないのにね。反対にわたしの望んだものはすべて与えてはくれなかった。


 多くのものをくれる父に不満を持つなんて、わたしわがままよね。でもね、本当の自分を押し殺されて、誰かの望む自分であり続けるのってとても辛いことなのよ。鳥かごの外に飛びたくれも、それは叶わない。与えられるものを拒む権利なんてなかった。えさを食べなければ、次の日のえさはもらえない。自由に鳴いてみれば、羽を傷つけられる。


 わかっていた。父がわたしに暴力をふるっていたことを。他の人から目に見えぬ形で傷跡をつくって、わたしを従わせていた。そのことを忘れようとわたしも努力していた。でも・・・・・・いつも限界だった。壊れそうだった。いっそ自分が完全に壊れれば、楽になれるかなって。そんな破滅を望んでいた自分がいた。


 でも、父が亡くなったことで、わたしは外の世界に飛び立つことが出来るようになったの。企業を継げだの遺産がどうとかいう声もあったけれど全部聞かなかったわ。もう他の人のいいなりになるのは止めたの!多くのものを捨てたけれど、代わりに一番欲しかったものを手に入れたわ。本当の自由をね――!



「これがわたしがあなたを好きになった物語よ。本当は、もう少し理由はあるけれど・・・・・・どう、感想は?」


「感想と言われてもなぁ・・・・・・」


 ネルケの婚約者を対象ではないのに撃ったことに関して後悔はない。ただ・・・・・・ネルケの父親を殺害したことは、本当に良かったのかと思えてくる。結果としてネルケはそれで満足しているだけで、俺がネルケの肉親を手に掛けた事実は揺るがない。


「本当に俺を恨んでいないんだな?俺は親の仇だぞ?」


 俺の問いに対して・・・・・・ネルケはなぜか頬を膨らませてきた。


「もう、何回言えばわかるのグラウ!?わたしはあなたを恨んでない。仮に恨んでいるならあなたにキスなんてしないし、指もしゃぶらないっ!わたしがそんな安い女に見えるのっ?」


「いや、まったく思いません。安売りする必要なんて一切ありません、はい」


 その気迫に飲み込まれそうになって、思わず出たのは敬語・・・・・・ん、待てよ。ネルケの言っていることがすべて本当だとすれば――彼女の俺に対する思いもまたすべて真実なのか!?おいおい、こんな美姫、俺なんかにはもったいなさ過ぎるだろ!!


「そう言えばグラウ。忘れてないわよね?」


「何のことだ。まだ何かあるのか?」


「わたしの好意を、二回も利用したこと」


「あ」


 結界(ここ)に来てからそんなこともあったな。だが、今それの支払いをすることなど出来ない。プレゼントなんてものは持ち合わせていない。


「結界の外に出たら欲しいものを買ってやる。それでいいか?」


 ネルケがにこりとほほえんだ。よし、この件は物を贈るで決着がつきそうだ。


「だ~め!」


「っ!?なっ、なんで?」


「わたしが物で満足すると思った?残念!結局、父の財産は全部わたしが相続したから、わたしはどんな物でも手に入れられる。でも、わたしが欲しいものはどこにも売られていないの――」


「おい!」


 ネルケが一度立ち上がったと思えば・・・・・・俺の膝の上にその形の良い半月を乗せてくる。そして俺の胸を細い指でなぞってくる。この体勢は――流石にまずい!!


「降りろ、今すぐにだ!手遅れになる!!」


「ふふっ・・・据え膳食わぬは?」


「男の恥・・・・・・って!そういう状況じゃないだろ!!!」


 ネルケが身体を密着させてきたために、二つの谷がむにりとあたる。鼻腔をくすぐる甘い撫子の匂いは、今は扇情的に感じる。俺の顔は、その羽二重のように白い手でロックされてしまっている。少し先には彼女の麗しい顔がある。だめだ・・・・・・もう!!


白馬の王子様(グラウ)・・・・・・あなたはわたしの心を射止めた。その責任、とってくれるわよね?」


 瞳を閉じた彼女の顔がより近づいてくる。ああ、また俺はネルケとキスを――


「ずいぶんと楽しんでいるな――――お前ら」


「「!?」」


 その凛とした声に、ようやく傍観者の存在に気がついた。


 ああ、きっと俺は忘れないだろう。鬼より鬼の形相をした・・・その少女の鬼気迫る表情を――

小話 R15とは何か?


ネルケ:やっとわたしの出番ね!って、なにこのタイトル?


グラウ:あんたに関することで、作者が悩んでいるらしい


ネルケ:なに、わたし、作者には興味ないわよ?


グラウ:……作者があんたに恋の悩みを抱いているわけではなく、あんたの行動をどこまで描写するかで悩んでいるそうだ


ネルケ:メっタいわねっ!


グラウ:キスは全年齢対象でもいいが、果たして膝の上に乗っかって……俺、これ以上言わなきゃダメか?


ネルケ:えっと、スリスリするのは流石にR18なのでしょうか……?う~ん、後書きだからってここまで書いていいのかしらね


グラウ:わからない。まぁ、ここでいくら何言ってもいいんじゃないか(作者)?本編に関係ないしーー


ネルケ:グラウ、今から○○○○○○!


グラウ:それはダメだ、いくらなんでも!


ネルケ:それじゃあ……今から○○○○○○○!


グラウ:と言っても全部伏せ字なら誰にも怒られないか


ネルケ:作者も意気地無しね。最後の二文字とか開帳すればいいのに


グラウ:伏せ字は作者のみが知るでおさめるそうです


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