魔神の手掛かりを求めて!
長らくおまたせしましたっ☆
◇
「貴様か!?」
「白竜さんです」
「今のブレスは奴しかおるまいよなぁっ!?うぬぬぅ…彼奴め!我が根城を消し飛ばしておいて逃げるとは何事じゃあああああああ!!謀反許すまじぃぃぃぃ!!」
まんまと標的を白竜に定めさせられた魔王?は1人で喚くだけ喚くと再び砂埃を上げて白竜が逃亡した方角へと走り去ってしまった。
「単純だったねぇ…」
「しかもすげぇ美人だったな」
「あっれれ?ここにも女神と言う名の素敵な美少女がいるんですけどぉ?」
「外見だけはな?」
「酷いよー!?」
ショックを受けるアストリエを放置して壊れた魔王城跡へ足を運ぶ。崩壊してしまってるけど魔神の手掛かりくらいならワンチャン手に入るかもしれない。
魔王城跡に至るまでの道中は俺の白竜に対する反撃兼魔王城破壊の光景を見てしまったからか手を出してくる魔物はいなかった。ラッキー。
結論的に言うと魔王城は文字通り跡形もなく消し飛んでいた。これじゃ手掛かりもクソもないじゃないか。
「や、やっと追い付いた…!」
そこへわざわざ走ってきたのか息を切らしたアストリエが。隣にフェンリルがいるんだから乗って来ればよかったのに。敢えて言わないけど。
「遅かったな」
「遅かったなじゃないよ!?私を置いて走って行っちゃったの君だよね!」
「さて、魔神魔神…」
「あれ!?スルー!?」
うるさいアストリエはさておき、どうしたものか。このままじゃ魔神を倒すどころか会う事すらままならない。
頭を悩ませていると不意にフェンリルが吠えだした。何かを見つけたらしい。
「どうした……って、これ梯子か?」
「地下に繋がってるみたいだね」
いつの間にか隣に来ていたアストリエが穴を覗き込んで言う。それくらい言われなくても分かる。
「フェンリル、留守番出来るか?」
頷くフェンリルを信頼してこの場を任せる。この隙に逃げられたとしても他の魔物に襲われて死なれるよりはずっとマシだ。
梯子に捕まって地下を目指す。地上の光が段々離れ、逆に地下の地面が見え始めた頃だ。
俺は不意に頭上を見た。当然そこには後から降りたアストリエがいるわけで、スカート状の服を着ている以上どうしても回避出来ない光景がそこにはあった。
「白か」
思わず口にする。
「へぁっ!?」
変な奇声が上がった。
「染み1つねえや」
「セクハラ!?」
「っておい!手離すなよっぶ!!」
羞恥からか、まだ降りている途中だと言うのに両手でスカートを押さえる仕草をしたアストリエは、重力に従い俺の顔面へとヒップドロップを噛ましてきた。
柔らかい感触と痛みで俺も遂に梯子を手離してしまう。自由落下。
「きゃあああああっ!?」
反響する悲鳴。
ドンッ!と音を立てて俺は地面に後頭部やら背中やらを打ち付ける。アストリエは俺の上に未だ覆い被さっている。顔面と下腹部付近に柔らかな感触を味わいつつ、取り敢えずいつまでも乗っていられるのはうざいから問答無用で押し退ける。
「重てえよ!」
「きゃうっ!」
横に転がって壁に衝突するアストリエを横目に体を起こす。不思議と打ち付けた身体に痛みはない。寧ろヒップドロップの方が断然痛かった。
自業自得と言われればそうなんだけど。
「ったく……あんな高いとこから落ちてよく無事だったな」
「色々無事じゃなかったんだけどーっ!」
「はいはい白いパンツ白いパンツ」
「適当にあしらわれた!?」
どうやらここは一本道の通路みたいだ。進んだ先には1枚の扉がある。
「道はあれだけか…」
立ち上がって扉を開けに行く。観念したのかアストリエは大人しく後ろに付いてきていた。
「あーちょっと重たいなっ…と」
扉に手を掛け押してみると案外重たい。生前なら多分全力出して開けれるか開けられないかのレベルだ。
先に広がったのはまた通路だった。今度は二手に道が分かれている。
「道が2つ……ここは一先ず二手に分かれてみるか」
「そだねー」
俺が右、アストリエが左だ。お互い何かあればここまで戻ってくると決めてそれぞれの道を歩き出す。
数分進んだくらいか。とうとう魔物が出現した。
「スライム…か?」
「ぴききっ」
種族的にはスライムなんだろう。半透明でこのぐにぐにとした感じはきっとそうだ。
おかしいのはやっぱり人型でボディービルダーも真っ青の強靱的な肉体を形取っているところだ。明らかに普通のスライムじゃない。
関係ないけどスライムってぴききって鳴くんだな。
「ぴきぎゅぼえぇりゅりゅりゅあああああっっ!!」
「うっわ気色悪ぃ!!」
中々手を出してこないから意外と友好的なのかと思いきや、突拍子もなく襲い掛かってきたスライムをほぼ反射的にぶん殴ってしまう。
周囲に飛び散って動かなくなった。……死んでないよな?
「なんだここやべぇ…さっさと進もう…」
その後、何度かマッチョマンなスライムを撃退しつつ複雑な通路を進んでいると、不意に先にあった十字路をアストリエが悲鳴を上げながら横切っていった。
少しして、マッチョマンなスライムの群れが横切った。
「……何やってんだあいつ」
こっそり角から顔を覗かせて走り去った通路を確認してみると既にそこには誰もいなかった。さらに少しして、再び別の通路からアストリエとスライム軍団が飛び出して消えていった。
それを「うわー」だの「ぎゃー」だの喚いて繰り返すアストリエを見てついに俺は確信に至った。
「ああ、ここ……迷路だな」
まだまだ魔神の下へは辿り着かせてはくれないようだった。
流行語。




